きみから・・2 (ページ49)

今日:14 hit、昨日:13 hit、合計:38,923 hit

守りたい2－You ページ49

取材を終えて、メンバーそれぞれがバンに分かれて乗り込むとき、その記者が写真を要求してきた。広報スタッフが断っても、強行に撮影しようとする。

とっさの判断で、私は他のスタッフの車に乗り、メンバーと離れたが、車の中でスタッフがあの記者について噂話を教えてくれた。
ゴシップを売り物にしている海外メディア。
アンチと呼ばれるファン層に受けている雑誌の記者で、取材が強引だと悪評が高いそうだ。
さっきの強行な撮影は、メンバーと同年代の日本女性が通訳として一緒にいるところを、撮影して、スキャンダラスな記事にしたかったのだろう・・と言われた。

SF「Aし、あんまり気にしなくていいですからね？あの記者は、いつもあんな感じですから。Aしが若い女性だったから、余計面白がってやったんですよ」

取材が終わってすぐ、雅美さんにも同じことを言われた。

雅美「ああいう類は、はじめから好意的な取材をする気がないのよ。だから、気にしちゃダメよ？ Aさんはよくやってくれたわ。他の取材陣は喜んでいたじゃない？きっと、いい記事にしてくれるわ」

そう言われても、心が晴れないままだった。

事務所に戻って、スタッフそれぞれが散開するなか、「後日」になったあの雑誌社の取材のことが気になった。

雅美「次は別の通訳をコチラで準備するわ。Aさんは、今回のことがあって先方も過敏になっているだろうから、出ないほうがいい。メンバーとは改めてよく打ち合わせるから。Aさんは、気にしないで？ね？」

私にそう言いながら、雅美さんの視線がロビーの入口付近に向いた。
その視線を追うように、私もそちらを向くと彼が離れてこちらを見ている。

雅美「リーダーが心配してるから。早く行ってあげて？心配しないように伝えてね？」

他のスタッフの手前もあって、雅美さんは小声で私に言うと彼のほうに向かって、私の背中を押し出した。

雅美「お疲れさま。またよろしくお願いね」

SF「「お疲れ様でした」」

スタッフが口々に挨拶しながら、雅美さんと一緒に社内に向かうのを、挨拶しながら見送った。