きみから・・2 (ページ34)

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伝わるなら～You ページ34

彼の前では・・もう泣かない。

そう決めた・・・。

「帰らないで、居て下さい」

LT「ん」

視線を合わせないで、笑顔をゆがませる。

いつものトゥギヒョンらしくない。

そうさせているのは・・・・わたし。

苦しげな笑顔を見せないようにして、彼が「帰る」と言う。

心の中に広がる不安と、彼への愛しさで胸が苦しかった。

いつもより、強く激しく抱きしめられて、彼の気持ちを思い知る。

彼を追い詰めているのは・・わたし。

「「ん・・今日は、少し苦しい」」と、彼に言わせたのは、わたし。

そばに居て、彼の笑顔を増やしたいと思っただけなのに。

そばに居ると、彼を苦しめる。

彼にきつく抱きしめられて、幸せを感じる。
私の芯が、熱くなって愛しさがあふれていくのがわかる。

この想いを、どうしていいのかわからなかった。

角度を変えて息も出来ないほど、彼に深く口付けされて、このまま落ちていくのもいいとさえ思う。

このまま、彼の腕の中で意識を手放して、溶けてしまえばいいと思う。

とても長い間、そうしていたようで・・、時間が止ったままのようだった。

離れがたいように、唇を離して、彼が私の頭を胸に抱く。

LT「ごめん」

何に対しての「ごめん」なのだろう。

ぼんやりとする思考の中で、彼の声だけが耳に届く。

LT「離れ・・・られない・・・。Aを・・・離せない」

彼の心音が、トクトクと私に刻まれていく。

「ジョンスし・・・」

名前を呼ぶだけで、次の言葉が見つからなかった。
韓国語で・・いまの気持ちをどう言えばいいのか、想いつかない。

日本語でさえ、想いに見合う言葉が無い。

ただ、彼が抱きしめる強さに応えるように、私も抱きしめ返すことしか出来なかった。

LT「A・・・Aの・・気持ち・・・聞かせて？」

いつも、相手のことを優先して、自分のことを後回しにする彼が、自分の気持ちを先に言って、その返事を待っている。

それが、どれほどの本心かと思い知る。

それに応えたい自分と、応える覚悟のない自分がせめぎ合う。

「・・・・・・・・ごめん・・・なさい」

彼を抱きしめる腕に力を込めて、心が伝わればいいと思う。

合わせた胸から、私の想いが彼に染みていけばいいのに、と思う。