俺だけの特別〜LT ページ26
ハンドルを持たない手を伸ばして、Aの手を捜す。
察したように、Aが俺の手を握ってから、その手を押し返して、腕に触れる。
A「運転中は、私がトゥギヒョンを触ってますから、ちゃんと運転して下さい」
ときどき、俺の車でAを送るときに、運転中に俺が手探りで助手席のAの手を探すと、Aの方から俺を触る。
Aの部屋にいるとき、俺はスグにAを抱きしめて、Aをそばに置こうとするが、Aはジッとしていない。
そして、自分から俺に触れる事はない。
俺が抱きしめると、俺の腰に腕を回す。
俺がAの肩口に顔を埋めると、Aも俺の胸に顔を埋める。
いつものAは、受身だ。
だから、この車の中のAのこの仕草は、俺にとっては特別で嬉しい。
「で・・歌ってくれないの？」
A「(笑)・・・・諦めてくれないんですか？」
「俺だけの、特別なら・・・歌じゃなくてもいいけど(笑)」
A「・・・ん〜〜〜」
「ポッポでもいいよ？(笑)」
頬をAの方に突き出すようにしてみる。
A「ソレ・・まったく別の話でしょう？(笑) それに運転中にそんなことできませんっ」
「ダメか・・(笑)」
そのあと少し黙って、大げさな深呼吸をしているA。
なにが始まるんだ？
A「・・・ジョンスっし。・・・アナタハ、ワタシノ・・・タダヒトリノヒトデス」
「え？」
思わず、ブレーキを踏んでいた。
A「わ・・トゥギヒョンっ」
横で慌てるAに構わずに、グンとスピードの落ちた車を路肩に寄せて停める。
A「トゥギヒョン？ ごめんなさい。変なことして・・驚かせちゃいましたか？」
心配そうに覗き込むAの頬を、両手で捉える。
「そういうことは、ちゃんと面と向かって言って。あと・・・後ろのほうの日本語・・・もう一回、俺にわかるように・・言って？」
顔を近づけてAに言うと、驚いたように見開いていた瞳をゆっくりと閉じて・・。
A「ジョンスっしは、私のただひとりのひとです」
今度は、韓国語でゆっくりと言う。
愛しくて、胸が苦しいほど熱くなる。
閉じた瞼に口付けると、Aは口角を上げて、柔らかに微笑む。
A「アイシテイマス」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みゆず | 作成日時：2013年6月1日 7時
