きみから・・2 (ページ22)

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焦りと不安～LT ページ22

「お疲れ」

Aの肩口に顔を埋めるようにして抱きしめると、Aは、俺の腰に腕を回して身体を預ける。

A「トゥギヒョンも、お疲れ様でした。帰ってゆっくり休んで下さいね」

「ん・・ホントは、もう少しこうしていたいけど・・・」

暗くて顔もよく見えないまま、触れるだけのキスをして額を合わせる。

「明日・・っていうか・・今日は？」

A「午後から旅行社に行きます。ガイドがあるかもしれないので」

「・・そっち・・セーブできないの？」

A「ガイドの仕事も、したいんです」

「無理・・してない？」

A「してませんよ？明日だって、午後からにして貰いました。少しゆっくりできます」

暗闇に目が慣れて、微笑むAの顔が見える。

「ん・・わかった。じゃあ・・またね」

そう言って、もう一度抱きしめてドアを開ける。

振り返ると出られなくなりそうだから、背中に小さく優しいAの「おやすみなさい。気をつけて」を聞きながら外に出て、後ろ手にドアを閉める。

腕の中に堪らない喪失感を感じながら、待たせたタクシーまで戻った。

一緒にいる時間は、満たされている。

でも、その分離れた時の喪失感は耐え難いほどだった。

このまま・・Aを離せなくなるかもしれない。

期限のある・・・付き合いなのに。

タクシーが走り出して、流れる景色を見ながら、この景色のように過ぎていく時間に恐怖さえ感じる。

疲れも、不安も感じないほど、入隊まで仕事をしたいと想っていた。

そして、入隊して新しい自分と向き合って行きたいと・・・。

Aと始めると決めたときは、その流される時間の中でしか出来ない恋愛をしようと想っていた。

今だから、今しかできないほどの恋をしよう。

自分の気持ちを抑えないで、わがままと言われても、自分の望むとおりにAをそばに置いて、後悔しない恋愛をしよう。

でも、もう既に・・心が揺らぐ。

Aを手放すときを想像すると、恐怖に似た焦燥感が襲う。

ふと、今日はとうとう聞けなかった「じょんすっし」のことを思い出す。

Aは、いま俺を・・・どんな風に想ってくれているだろうか・・・。