はじめてのひと〜LT ページ15
A「はじめて好きになって、はじめて付き合って・・・・はじめてキスして・・・
・・・・。そして・・・・はじめて振られたひとです」
Aが 一瞬辛そうな顔をして、思わず抱きしめていた。
A「トゥギヒョン。・・・・・ここまで聞いたんですから・・・・最後まで聞いてくれますか？・・聞いて呆れるかも知れませんけど・・」
「Aが、辛くないなら・・聞くよ」
抱きしめた腕を緩めると、Aは 静かに身体を離した。
A「ほんとに・・全部初めてだったから、私 他が目に入らなかったんです。
ずっと、彼だけでした。
美味しいものを食べると、彼を思い出して彼にも食べさせてあげたくなったり、楽しいことがあると彼と一緒ならもっと楽しいだろうと思ったり・・・。
私の生活全部が彼に繋がってました。
たぶん・・それが彼には重くて・・めんどくさかったんだと思います。
私は彼のことしか見ていなかったから、このままずっと一緒だと思ってましたけど、
彼は違っていて・・・・。別のひとが居たんです」
そこまで言って、深呼吸する。
A「でも、それでも私、全然気づかなくて・・・
彼のこと見てるつもりで・・・ホントは全然見えてなくて・・・・
その・・・・別のひとに・・赤ちゃんができて・・・・
私が知ったときは、彼が入籍したあとでした」
Aの声が震えている。
A「笑えますよね？・・私だけボンヤリしていて・・・全然、周りが見えてなくて・・・。
私・・それまで どうやって生きてきたかわからないくらい、彼のことだけで生きていたから・・、何もなくなっちゃって。
日本にいると・・どこかで、彼とそのひとを見ちゃうんじゃないかって思って、外に出るのが怖くなって、会社にも行けなくなりました。
このまま・・消えてしまってもいいと思って・・・ました」
もう一度、抱きしめると・・Aは、話すのをやめて
俺の腕の中で、小刻みな呼吸をする。声を出さずにAは泣いている。
「ごめん。もういいよ。ごめん・・。Aを泣かせたくて聞いたんじゃないんだ」
Aは、腕の中で 頷きながら泣き止もうとする。
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作者名：みゆず | 作成日時：2013年6月1日 7時
