第31話 ページ32
智司 side
やばい、当たる。そう思って思わず目を瞑る。突然のことすぎて上手く頭が回らず、受け身の姿勢に入れない。天下の開久の頭がこれか。落ちぶれたものだな、と思った。
こんなこと考える余裕はあるのに、くそっ。
こんなに考える時間があるのになぜ当たらない?何が起きた?相良が止めたのか?
そう思って目を開けると、
??「珍しいじゃん、当たりそうになるなんて。」
俺の予想は外れ、ここにいるはずのないAが拳を受け止めていた。
「A、なんでここに…。」
俺が聞くと、『どうもこうも、この人が行った学校の生徒、ハゲにされてる子多いから…、心配で。』と小さく答えた。
『お熱いねェ』という相良の声が聞こえたが、とりあえずそれは無視した。
「そんな心配しなくても、俺は禿げねぇよ。」
鼻で笑いながら返す。
『うぅっ』と苦しむ声が聞こえたから、Aか?と心配になって見てみたが、剛田が倒れていた。
「お、おい、お前…これ…」
A「ん?あぁ、うるさいからやっちゃった。」
『やっちゃったってなぁ…』と苦笑い気味で返す。それにしても、こいつ強すぎないか?と思った。
相手は男だ。しかも元ヤクザ。すなわち喧嘩のプロ。しかもガタイが良い奴だ。力だってそれなりにあるはず。なのにAは、涼しい顔で汗1つ垂らさずに勝った。
あの数分、いや、数秒か…?
相良「こんな奴には勝てんのに俺には勝てねぇのかよ、マブい嬢ちゃん。」
A「うるさいなぁ。この人は素手で来たけどあんたは鉄の棒とか使ってきたじゃない。あなたが何も使わなかったら勝てるわよ。」
『そうかィそうかィ』と軽く流す相良を前にして、『飛ばすよ?』と真顔で答えるA。
相良「何もしねぇよ、天下の開久様の頭の女と来たらなァ。お守りしなきゃならねぇもんで。」
相良はそう言って両手を上げて降参の合図を出す。
A「開久に守ってもらえるのは光栄だわ。これからよろしくね、相良くん。」
『はいはい。』とこれまた軽く受け流す相良を見て、苦笑いをした。
「A、授業は平気なのか?」
この間家に泊めてもらった時に、将来が心配だから授業は形だけでも受けてる、と言ったA。
相良「スケバンが授業かィ。」
『文句あるなら飛ばす。』とまた真顔で言うAと相良の距離を離し、成蘭まで送ってく、と声をかけた。
A「街の見回りは?」
「それより自分の女だろ。」
その言葉に赤面する彼女を連れて、開久を出た。
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玲美(プロフ) - 面白いです!!💕 (3月20日 4時) (レス) @page50 id: e0cb024252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆみゆぽん | 作成日時:2019年1月2日 17時