成蘭高校のもう1人の番 (ページ21)

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第20話ページ21

A side

30分ほど経ったかな。やっと診察が終わった。

幸い、またまた骨折は無く、打撲がとにかく多い。痣になってる所は触ると痛いけど。

「片桐さん…？お待たせ。」

智司「おう。骨とか平気だったのか？」

「うん。骨は大丈夫だって。打撲が沢山。明日京子達になんて言おうかな。」

智司「正直に言えばいいんじゃねえのか？相良にやられたって。」

「うーん。それだとなんか…。開久の皆さんに悪いと言うか…。」

智司「女の1人や2人が開久のこと考える必要はねぇよ。女に手ぇ出すやつは俺が止めてやる。」

『俺が止めてやる』

かっこよ…。

智司「ほら、乗れ。」

「へ？」

片桐さんは私の前で軽くしゃがむ。おぶられろって事？

「重かったらごめん。」

智司「別に重くねぇから気にすんな。」

病院からの道は何一つ言ってないのに、片桐さんは見事に私の家に連れて行ってくれた。

「よく…分かったね…。すごい」

智司「そうか？普通だと思うんだが…。…そうだ、A。お前も俺の事名前で呼べよ。俺だけってなんか変だろ。」

急に恥ずかしいこと言わないでよ、もうっ！

「じゃあ…智司さん。」

智司「さん、は取れないのか…。まあいいか。
………A。」

「…へ？……っ！」

急に名前で呼ばれ、間抜けな返事をした後、気付くのに少し時間がかかった。

今…今…。おでこにキスされた…？

「え、ねぇ…これは…ど、どういう??どういう風の吹き回し？」

智司「どうもこうもねぇよ。お前がマブかっただけだ。」

「あ、あの、明日、お話したいことがあるから…駅前のサテン来てもらっても…いい？」

智司「分かった。放課後の16時な。」

「うん。送ってくれてありがとう！気をつけてね！じゃあ、明日！」

智司「あぁ。よく休めよ。」

明日…。私頑張ろう。

『好きです』

この4文字を伝えたい。

神様。人を好きになるって素敵なことなんだね。

お母さん、お父さん。

2人の分まで幸せになってみせるから。
もしダメでも、私にとっては悔いのないこと。

初めて好きになったんだもん。

私の想いが届きますように。

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智司 side

あいつの話したいことってなんだ？

けど、こんなチャンスはねぇ。

明日…。

俺はお前に、Aに言わなきゃいけねぇことがあるんだ。

絶対に俺のものにしてやる。