成蘭高校のもう1人の番 (ページ20)

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第19話ページ20

A side

相良が去った後、運良く助けが来た。片桐さんにはこんなに弱々しいところなんて見せたくない。

だって、強い人が好きそうなんだもの。

『立てるか？』

そう声をかけられた。いつもなら無理してでも、立てるから、と言うけれど。今回だけは甘えさせてもらった。

立った後、自分で歩くものだと思っていたから今、物凄くビックリしている。

だって……片桐さんに…お姫様抱っこ…されてるのよ？

嬉しい反面、申し訳ない気持ちで一杯になって、涙が溢れて来た。

智司「ごめんな、うちの相良がよ。ほんとにあいつアホだから。ちゃんと俺から言っておく。だから心配すんな。」

「ごめんなさい。会う度に迷惑かけて。」

智司「いや…別に。俺は迷惑だなんて思ってねぇよ。…寧ろ、俺は頼られる方が嬉しい。」

へ??今、頼られる方が嬉しいって…

「片桐さんは強い人が好きなんじゃないの？」

智司「偏見だろ…。まぁ、もちろん強いやつも好きだけどよ。女は黙って男に守られるもんだろ。」

それを言われた後、一気に顔に熱が集まった。

勘違いだって言うのは分かるけど、期待しちゃうじゃん…。

「そっか…。」

こんな素っ気ない返事しか出来ない私は馬鹿だ。

もっと乙女みたいな発言は出来ないのかな。いや、私はそんなキャラじゃないか。

智司「ほら、病院着いたぞ。今日も送ってやっから。」

「また…家まで送ってくれるの？多分診療時間かかるよ??」

智司「構わねぇよ。今にも倒れそうな女を置いてくほどひでぇやつじゃねぇからな。」

また顔に熱が集まる。これじゃ、私が片桐さんを好きみたいじゃない…。え…。好き??私が片桐さんを？

智司「診察室まで行くからよ、待合室で待ってる。」

「あ、うん…。ありがとう」

この人、本当に優しいな…。

「片桐さんってさ、ぶっちゃけ聞いていい？」

智司「？なんだ？」

「彼女…いるの??」

智司「はっ？急になんだよ…別にいねぇけど」

以外…。絶対いると思ってた…。

「強いし優しいからいるのかと思った。モテるでしょ？」

智司「俺に近づいてくる女はお前くらいしかいねぇよ。」

やっばい。こんなこと聞かなきゃよかった。どんどん顔が熱くなってくる…。

なんかもう、茹でダコになった気分。

智司「ここで待ってるから行ってこい。」

「うん！」

どこまで優しい人なのか、と考えながら診察室へ入った。