成蘭高校のもう1人の番 (ページ14)

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第13話ページ14

智司 side

相良が相手を見つけ、すぐに片付け終わったあと、俺たちは別れてそれぞれの帰路に着く。

俺が1人で歩いていると、見覚えのある背中を見つけた。

きっとあいつが呟いたんだろう。

『誰かに自分だけ愛されるって素敵。』

あいつはそう思っているのか…。俺がもしその存在になれたなら。と、そう考えてしまう。

A「自分より身長が高くて、私よりも強くて…かっこいい人。」

小さな声だったが、俺には確かに聞こえた。

その後に耳まで赤くして走って行ったのが少し可愛いなと思った。

俺は、

お前みたいに、

小さくて、でも強くて、

自分よりも周りを見ていて、強そうに見せて本当は1人じゃ生きていけないようなお前が…。

「…好きだ。」

あいつの目の前で、この3文字を言えたらどんなに楽なことだろう。

A。いや、A。

誰かを好きだと思ったのも、傷つけたくないと思ったのも、お前が他の男といるとイラつくのも、全部、お前が初めてだ。

次はいつ会えるだろう、と考えながら早歩きで家に帰った。

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A side

1人だったはずなのに、誰かが、心から会いたいと思う人がいたような気がして、すごく恥ずかしくなってきて急いで帰ってきた。

私の親は、中学を卒業する頃に2人とも他界してしまった。

その時は、それほど悲しくなかった。

両親が他界してから1年経った今、頼れる誰かの大切さを知った。

本当は1人になんてなりたくない。

私がスケバンになったのは、私の家の近くの高校がスケバンが多いと聞いたからじゃない。

中学の頃からスケバンはいて、私はそいつらから避けられていた。

『真面目すぎる』

と言われたのが1番ショックだった。高校になったらみんなと同じなれるように、と思ってスケバンになった。

小学生の頃に合気道をやってたのが良かったんだと思う。スカートを長くして登校した初日。頭を張ってる人に喧嘩を売られた日。

私は無傷で勝利した。

それからはみんな慕うようになってくれて、学校では寂しくないけど、家に来た途端寂しい。

「明日…いい事ないかな。」

静かな部屋で呟き、ソファに座ってゆっくりと目を閉じた。