成蘭高校のもう1人の番 (ページ13)

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第12話ページ13

A side

片桐さん達が去った後、ホッとした。

伊藤「Aちゃん…？大丈夫？」

「え？何が？私なんかした？」

伊藤「いや、焦ってるように見えるんだけど…。」

顔には出ていないが、内心とてつもなく焦っている。さっきまでも焦っていたが、伊藤くんの言葉でより焦る。

「ごめん、大丈夫だよ！そろそろ…出る？」

三橋「送ります！お家に！」

三橋くんに、『ありがとう、でも気持ちだけでいいわ。』と伝え、3人でサテンを後にした。

「じゃあまた！あ、伊藤くん！京子が明日デート行きたい～ってずーっと言ってたわ！」

伊藤「でぇとぉ??んもぉ～京ちゃんったらぁ～。かわいいなぁぁぁ。」

ここに京子はいません。と私の中で言う。京子を見て気が緩んでしまうのはよく分かる。
顔が緩むほど惚れたんだな、と納得した。

2人と別れたあと、また1人で帰路に着く。

「いいなぁ、京子は。誰かに自分だけ愛されてるってすごい素敵。」

ボソッと呟く。

恋ってなんだろう。

私は、異性の人とお付き合いをしたことが無い。そもそも、異性を好きになったことすらない。

告白を受けたことは何度かある。けど、誰も私と釣り合いそうになくて。だから全部断わってきた。

「私より身長が高くて、私よりも強くて…かっこいい人。」

また1人で呟く。

こんな人居るのかなぁ、と自分の求めているレベルの高さを思い知る。

『私より身長が高くて、私よりも強くて…かっこいい人。』

頭の中でもう一度同じことを呟く。

あの時私を助けてくれたあの人が私の脳裏に浮かぶ。

急に恥ずかしくなってきて、夕焼けが地面に反射する、誰もいない路地を走った。

近くに、片桐さんがいるなんて知らずに。