吸血衝動【MHA】 (ページ9)

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吸血衝動ページ9

「粘土」

「うぇい！？」

奇声を発して勢いで立ってしまった私に、クラス全体の視線が集まる。

「お前の個性、粘土化だろ。A組が壊したグラウンドβの建物直すの手伝ってくれ」

「え、私の個性粘土化であってくっつけることしかできないですけど」

「その力が必要なんだよ、早く来い」

「うぃっす」

パワーローダー先生小さいのに怖い。

そんな事を思っていたのがばれたのか頭ぶん殴られた。痛い。

「サポート科粘土が直しに来ましたよーっと」

あれ、授業終わってない系？

多分A組だと思われる面々の視線が集まる……既視感(デジャビュ)。

「あ、勝己」

「……」

え、静かだな！？

と、混乱していると、また叩かれそうになった。

さっと避けると小さく舌打ちされた……暴力反対！

さっさとその大分壊れた建物の前に立ち、先生に事前に言われた通りにここら一帯を粘土化した。

「あ、」

埋まる埋まる埋まるぅぅぅぅ！？

片手を付いたまま逆立ちになると、手が埋まった。

なにやってんだ私のバカ！！

でもま、後で粘土化して掘り進めればいっか。と思い深くまで埋まらないように気をつけながら先生の作業が終わるまで頑張った。私偉い。

その後、金髪チャラ男くん←に出久が保健室にいるという事を聞き、急いで保健室に向かった。

「出久！！」

ガラッと大きな音を立て保健室のドアを開けると、痩せ細った人とリカバリーガールがいた。

多分、痩せ細った人はオールマイト。

「粘土かい」

「やぁ！粘土少女！」

「出久は、無事、でしょうか…？」

肩で息をする私にリカバリーガールがハリボーをくれる。

「緑谷は一応無事さ、安心しな」

その言葉にほっと息を吐いて、へにゃりと床に座り込んだ。

「良かったぁ…」

安心して、涙が止まらなかった。
分かってる、つもりだった。

ヒーロー科に入るって事は、怪我がつきものだって事。

だけど、怖かったのだ。

たった二人の幼馴染みの中のどちらかが、もしかしたらどちらもが、居なくなってしまうかも知れない不安が。