吸血衝動 ページ8
何でこうなった。
…遡るは十数分前。
「隣、良いか」
「あ、はい」
発目以外に友達がなかなか出来なかった私は、(そもそも友達なのかすら危ういが)食堂で一人寂しく昼食を食べていた。
「お前、推薦でいたろ。落ちたのか」
「あー、はい。まぁ、第一希望がサポート科だったので……」
沈黙。
え、なにこのひと隣来といて黙るって!!
困る!
「蕎麦、好きなのか」
「えぇ、まあ。美味しいじゃないですか」
私は基本的に麺類好きだし。
「名前聞いても良いか?」
「粘土Aです。ねんどって書いてねばりどです。個性は……粘土化と、……」
「何だ?」
「あまり、好きじゃないんですよ、もう1つの」
苦笑しながら言うと、小さく「そうか」と、彼は呟いた。
「お名前をお聞きしても?」
「轟焦凍。焦がれるに、凍る。」
「何かかっこいい名前ですね」
私が小さく笑うと、轟くんは少し固まった。
「そう、か?」
やっとの事で絞り出したかのような声に、また笑ってしまう。
見ると、頰は少しだけ赤く、照れているのかな、なんて思った。
(可愛い、なんて)
男の子に失礼な事を考えて、また笑う。
「こんなに笑ったの久し振りかも知れない」
そう言うと、
「そんなに面白かったか……?」
と、言われて、迷わず縦に首を振った。
「あれ、轟くん……Aちゃん!?」
「出久だ」
ひらひらと手を振ると、驚いた顔で、ぶつぶつと何かを呟くのが聞こえた。
あー、懐かしい。でも出久それクラスでもやっちゃってる系?ヤバくない?
「緑谷と知り合いなのか?」
「うん、まぁね。幼馴染み。ついでに言えば勝己も」
最後に蕎麦をずずっと豪快に啜って、席を立つ。
「じゃあね。轟くん、出久」
お盆を持って返すところに小走りで向かった。
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作者名:ヒロアカlove | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月20日 16時