ノラ猫の恩返し (yb×in)

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寒い冬が過ぎて、春が来た。



「ただいまー」

「にゃあ！」


ドアを開けると、変わらず出迎えてくれるいのお。


「留守番ありがとなー。今ご飯やるからな」

「にゃっ」


もりもりご飯食べてる。元気元気。



「慧は緊急の手術が入ったから帰り遅くなるって」

「にゃ」




簡単な夕飯を作り、いのおと遊んでやると、俺の膝の上でまったりしている。



今日は仕事が忙しかったので、猛烈な睡魔が襲ってきた…


ちょっとだけ…


ソファーに横になると、いのおも隣にくっついて寝そべった。






「…宏太ー！起きてー」

「んん…？」


ゆっくり目を開けると、慧が覗き込んでいる。


「…おかえりぃ」

「こんなとこで何も掛けないで寝てたら風邪ひくぞ！まだ夜は寒いんだから！」


「…はぁい…」


しっかり熟睡してしまってたので、なかなか頭が覚醒しない笑


「いのおくんもー！一緒に寝ないっ！」

「んにゃあ…」


とばっちりで怒られてる。すまん笑


「手術は…？大丈夫？」

「麻酔から覚めたし安定してたから、夜勤の先生に任せてきた」

「そっか」

「お風呂入って温まってきなよ」

「じゃー、一緒に入ろ」

「…っ！？何言ってんの！」

「慧もどうせ入るんだしー」

「恥ずかしいからやだ！一人で入れっ！」

「えー、一緒がいいー」



「……もおっ！じゃ早く沸かせよっ」

「やったー♪」



最後は絶対いいよって言ってくれるんだ笑



こんなわがままも…言えるようになった。






「温まった？」

「バッチリ！」

「じゃ寝ますよ」

「はーい。いのおー、寝るぞー」

「にゃ」


いのおを真ん中に、ベッドに入る。


「慧」

「ん？…っ」


身体を起こして、優しく唇に触れる。


「んぅ…ん」


ちゅっと音を立てて離す。



「おやすみ」と俺が言うと



ふふ、と嬉しそうな顔をして


「もういっかい」


なんて言う。






愛する人と、愛する猫と



毎日…過ごせる幸せ。






一匹のノラ猫がくれた…この、温かい日々が




ずっと、続きますように。







fin.

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