ノラ猫の恩返し (yb×in)

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翌週から俺は仕事復帰した。



結局3週間近く休んでしまい、会社に迷惑をかけてしまったけど、同じチームの同僚や上司が温かく迎え入れてくれて有り難かった。



明日は病院で脳の検査を受けるので休みをもらっている。
あの後、頭痛などの後遺症は一切なく体調も問題ないが、念のための検査なんだ。




体力もほぼ戻り…伊野尾慧という恋人が出来たこと以外、事故に遭う前と変わらない毎日に戻った。





─それでもまだ、心にぽっかりと空いた穴は塞がっていない。





意識を失っていた5日間と、退院してからのたった1日




一緒にいた時間は一週間にも満たないのに、こんなに俺の心に入りこんでいたんだな…あのノラ猫は。





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『じゃ、明日9時半ね。気をつけて来てね』

「よろしくお願いします！先生♪」

『"先生"はやめてよー笑』

「だって、俺の担当医でしょー？慧は」

『まぁそうだけど』

「忙しいの少しは落ち着いた？」

『おかげさまで。術後の経過も順調だよ』





慧は先週から忙しそうだった。


難しい手術を控えた患者さんが転院してくるからと、検査や手術の準備に追われ…一昨日やっと終わったそうだ。


夜遅くまで手術のシミュレーションもしてたとかで、しばらく会えてなくて。




「ホント…お医者さんって尊敬するなぁ…病気を治すんだもんな。しかも慧は脳の手術専門だろー？」


『ふふっ、ありがと』

「明日は…仕事の後会える？」

『うん。18時上がりだから…家まで行こうか？』

「俺が18時ごろ病院行くよ。金曜日だし外でご飯しない？」

『いいね！楽しみにしてる』

「泊まっていける？もし疲れてるなら…」

『大丈夫！喜んで♪』




電話を切った。



俺のことを心配してくれてる慧は、仕事の合間や夜に必ず連絡してきてくれる。



いつまでも心配かけてはいられない。
慧だっていのおが居なくなって寂しいのは同じなんだから



「しっかりしなきゃな…」



とりあえず明日は久しぶりのデート。
慧に楽しんでもらいたいな。

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