ノラ猫の恩返し (yb×in)

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昨日行った薮さんの脳の検査は、異常なしだった。


今日は金曜日。体調も良いみたいだし月曜退院で問題ないだろう。



スマホを開いて、薮さんとのメッセージを見る。




こないだ夜勤明けで帰ったあと、いのおくんと遊んだ動画を送ったら、すごく喜んでくれて



何とかさりげなく連絡先交換出来ないかな…と思ってたら、薮さんの方から言ってくれた。
動画を送る目的、なら不自然じゃないよね。



それからは、少しずつやりとりをしてるんだけど、何だかくすぐったくて…楽しくて



あの動画を送った時なんて、30分くらい延々とメッセージをやりとりしてたもんな笑




…薮さんが退院したら




いのおくんは薮さんと暮らすことになるだろう。
何とか…その後も…薮さんと繋がっていられたら




"いられたら"じゃないな…繋がっていたい




せっかくいのおくんが引き合わせてくれたご縁だ。
俺もあの子の事は大好きだし、今後もあやかろう。




自分から動かないと。





いのおくんは…自分からガンガン行動してた。



あの日、自分の目の前で事故に遭った薮さんの乗る救急車にこっそり隠れて乗り込んで



病院に着いたら中まで入ってきて




その日から…俺の姿になって薮さんの夢に現れた。




救急車が到着したとき居たのが俺だったからなのかな。


俺が、薮さんの治療をすると思って…治してほしくて俺の夢に薮さんを登場させたとか？



だって、ちょうど薮さんが意識を無くしてた間だし、俺はいのおくんを連れて帰ってから薮さんの夢を見始めたし




「…考えすぎかな笑」





まぁ何にしろ





せっかくあんな素敵な人と出会えたんだ…このままお別れは絶対したくない。




"好き"なんだから。




離れたく…ない、絶対。





検査結果を伝えに、薮さんの病室へ行く。



すると、お母さんがお見舞いにいらしてた。


「こんにちは」

「先生、こんにちは！いつもありがとうございます」

「ちょうど良かった…退院の日が決まりました。来週月曜日です」


薮さんが「ええっ！じゃあ…」と声を出す。


「はい、検査結果は異常なしです。次は念のため3週間後くらいに見せてもらいますけど」


「宏ちゃん…良かった！」


お母さんが涙ぐんでる。心配だったろう。


「ありがとうございます…先生」


薮さんがふにゃっと笑った。

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