ノラ猫の恩返し (yb×in)

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ポケットからスマホを出す。


「これ、昨日撮りました。自撮りヘタなんでちょっとブレてますけど笑」


そう言って見せてくれた写真は、いのおが先生の肩によじ登っていて、二人の顔がぴったりくっついてるツーショットだったのだが…



「…っ、可愛い…！！！」


がっつりカメラ目線のいのおと、"ちゃんと撮れてるかな？"的な少しぽやんとした表情の先生。


世の中にこんな可愛い生き物(×2)いるのか！！ってくらいの萌え写真に思わず声が出てしまった…


「動画撮ろうとしたら登ってきて。可愛いですよね〜、いのおくん」

「いやっ先生も！！」

「ほぇ？」

「あっいや、えっとっ」


？？となってる先生。


「あ、その…」



落ち着け、落ち着くんだ薮宏太。



「こ、この写真…送ってくれませんか…？」


「えっ！こんなブレてるのでいいんですか？でもアップで恥ずかしいし」

「言うほどブレてないじゃないですかっ！！これが欲しいんです(力説)！！」


「そ、それじゃ…」


どさくさ紛れに、連絡先交換。
写真送ってもらう為だから！
下心…とかじゃ…無いから！！←


「動画も要ります？この写真撮った後しばらく撮ってたんですけど」

「くださいっ！！」


食い気味で返事。そんなの欲しいに決まってる！！！



先生から写真と動画が送られてくる。


「ありがとうございます！」

「いえいえ」



こっそり壁紙にしようかな…笑






先生と過ごす、この…1日10分程度の時間が



楽しくて



温かくて




ずっと…このままでいたいと…思ってしまう。




分かってる。俺は患者で、先生は担当医。



俺が担当患者だから、こうして親身になってくれてるだけだ。



いのおの件があるから、他の患者さんよりは…近い距離だとは思うけど





それでも、俺は







「…先生、俺って…いつ退院できますか？」


先生が俺の方を向く。


「明日…脳の検査の予約を入れてます。その結果が問題無ければ、週明けには退院と考えてます」


「…そうですか」


「体力も戻って来てますしね。でも退院した週は自宅療養でお願いします」


「はい」


「薮さん主にデスクワークとの事ですんで、再来週からお仕事復帰で大丈夫ですよ。ただ、念のため…退院して2週間後くらいにまた検査させてください」


「わかりました」

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