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in side
薮さんの『夢』の話に、想像以上に驚いた。
あの猫ちゃんが俺に変身して、自ら伊野尾慧と名乗ったという。
…夢、だけど
でも
「…え?先生も…夢を…?」
「そうなんです」
「いのお…出てきたんですか?もしかして」
「いいえ。あの子は出てきてません。そのかわり…」
ごくり、と唾を飲み込む。
薮さんは、じっと俺を見つめてる。
「薮さんが…出てきました」
目を見開く。
「…え…?」
「薮さんと違って、僕は断片的にしか覚えてないんですけど…病院に搬送されて、意識のない姿しか見てないのに」
俺のスマホを、きゅっと握りしめる。
「目を開けた姿はまだ知らないのに…薮さんと僕はすごく仲良さそうに…暮らしてました」
「…そんな…」
「だから…僕も薮さんと同じですよ。意識を取り戻して目を覚ました時ホントに驚きました。夢で見た顔と一緒だったので」
「…っ」
驚いてる。
「そんな…何で…こんな事が」
「あ、ところで…薮さんってまだその夢見てます?」
「いえ…意識が戻ってからは一度も」
「そうなんですね。僕もです」
"いのおくん"を連れて帰ってから5日間、家に居るときも夜勤の時も見たけど、薮さんが目覚めてからは…見なくなった。
「…何で…お互い知らない人同士なのに、夢に出てきたんだろ…」
薮さんがぼそっとつぶやく。
「…"いのおくん"が見せてくれたんでしょうか。医者の僕がこんな非現実的なこと言うのも何ですけど」
「…俺も…そんな気がしました。なにしろあいつに出会ってからですもんね…でも」
言葉を切って、俺の目を見つめる。
「もし…そうなら…感謝だな…。先生と出会えたんだから」
「…えっ」
マスクをしてるから、目元しか見えないけど
あの、ふにゃり笑顔をしてるのはわかった。
とくん、とくんと心臓が跳ねる。
「…夢だけじゃなくて、良かった」
「薮さん…」
"僕もです。あなたと出会えて良かった"
思わず口から出てしまうところだった。
俺は医師で、薮さんは数人いる俺の担当患者の一人。
それでもこみあげる、薮さんへの想い。
"いのおくん"が見せた…あの夢のせい?
薮さんは男性で、俺も男…だけど
───好き
に、なってしまったのかも。
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ましろ(プロフ) - 夏夢さん» ありがとうございました(≧∀≦) ええ、薮家のアイドル、とーっても美猫さんですよぉ♪♪ これからふたりと1匹でいつまでも楽しく暮らしていくことでしょう…(*^^*) (2020年8月2日 22時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みるみるみるきーさん» ありがとうございます!不安にさせてしまいごめんなさい(><) 途中わたしも泣きそうになりながら書いてましたが笑、無事みんな幸せにしてあげられました〜!! (2020年8月2日 22時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - さくらもちさん» ありがとうございます! そんなに癒しになったとは、嬉しい限りです(≧∀≦) また次のお話でもぜひお立ち寄りください♪ (2020年8月2日 22時) (レス) id: 8371985186 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - 完結おめでとうございます!成長したいのおくん、さぞや美猫に…うっとり。行動力のある伊野尾先生と溺愛な飼い主さんの今後も幸せでありますように(*^^*) (2020年8月2日 22時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!ハピエンで良かったー!また、いのおがいなくなっちゃう??と不安にかられながら読んでましたー!ほんとにみんな幸せでよかったですっ! (2020年8月2日 22時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2020年7月8日 22時