努力家なprincessちゃんの物語 (ページ11)

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平野side

平「で？ほんとはどうしたの？」

家についてとりあえず風呂に入って今はソファでまったりモードな俺とりん。

あ「別に…。」

平「…ココア飲む？」

あ「飲む。」

いつもとちょっとだけ違うなって思って声かけてみたけどやっぱりすぐには言ってくんないか。

平「はい、どーぞ。」

あ「ありがと…。」

平「注射したとこ腫れなかった？大丈夫？」

あ「うん。」

あんまりにも続かない会話。どうしたもんかと考えてると

あ「思い出した…から。1人になりたくなかった。」

なるほど。そうゆうことか。

りんは幼いころに両親を事故で亡くしている。それも目の前で。

きっと今日病院で医者を見たときに思い出しちゃったんだろうな。

平「そっか。大丈夫、俺は絶対いなくならないよ？ずっとりんのそばにいる。もう来るなって言われたってりんから離れないから。」

幼いころに訪れた愛しい両親との突然の別れ。それがどんなに辛かったか。最初出会った頃はそんなこと知らなくてデビューするほんとちょっと前に知ったこと。

たまたま、本当にたまたま小さな子が迷子になっていたみたいで「まま！まま！」って泣いている姿を店で見たときだった。

その子のお母さんはすぐに見つかったみたいだけどりんの様子はみるみるうちにおかしくなっていた。

気づけば過呼吸を起こしていたんだ。

そのときにりんの過去を俺は知った。

あ「…お母さんとお父さんに会いたい…っ。」

平「りん…。」

いつもは両親のことを話すときはお母さんとお父さんは私の胸の中にいるんだ！だから大丈夫なの！って言ってるけど本当は会いたくてたまらないんだろうな。

平「会いたいよな。お母さんとお父さんに。」

あ「うんっ…会いたっ…いっ…。」

俺だってめちゃくちゃ会わせてあげたい。だけど亡き人に会わせられることなんてできない。

平「いいよ、今はたくさん泣いて。お母さんもお父さんも怒らないから。俺が保証する。」

それからりんはただひたすらに俺の腕の中で泣いていた。

気づけば泣き疲れたのか寝ていた。

初めてだった。りんが両親に会いたいと言ったのは。きっと玄樹の休養もあって寂しくなってきちゃったんだろうな。

平「大丈夫。みんなりんのそばにいるよ。」

そう寝ているりんに声をかけて俺も眠りについた。