Episode 26 ページ28
「…………私、アルタと結婚するよ。」
「ーーっ」
その言葉を聞いた瞬間、アルタは私の肩を掴み目を真ん丸にした。
「は、え、何で。
お前、フィガロのとこにいたんだろ。
……フィガロになんかされたのか。」
「えっ」
「俺じゃだめなのかとか言っときながらおかしいと思うけど、
だってお前、ずっとフィガロのこと好きだったのに変だろ。」
アルタの言う通りだ。
急に結婚するだなんて言い出して、私だって変だと思っている。
でもこれが一番良い結末だと思うから。
「……アルタが村を守ってることと、約束の仕組みのことも聞いた。
それで私、やっぱりアルタのが好きだなって思ったの。魔法使いが私の恋愛の好みだったみたい。｣
可笑しいでしょ、と笑ってみせる。
｢それにこの村が無くなるのは…みんながいなくなるのは嫌だから……。」
「……。」
伝えている間にどんどん涙が溢れる。
泣いちゃダメだ…私が泣く資格はないだろう。
そう思えば思うほど、溢れてくる。
どうしても、白衣を纏った男の姿が頭から拭えないのだ。
「いいよ、結婚なんて。」
「えっ」
突然、アルタは冷めた声色でそう言った。
予想していた返事と違って私は固まってしまう。
「…そんな泣き顔で言われたらもう何も出来ねぇよ。」
アルタの顔が歪んで、じんわりと目元が赤く染っていく。
「俺はずっと、お前が好きだった。
確かに幼い時の約束だ。あの時は俺もちゃんと魔法使いの約束を分かってなかったし。
大きくなってからは、俺がこれから村を守らなきゃっていう焦りもちょっとはあったんだと思う。
だけど、無理矢理結婚はしたくないよ。｣
｢最後にもう一度だけ伝える。
…ずっと、Aが好きだった。
だから、嘘でも“好き”だって言って貰えて嬉しかったよ。」
そう言って私の肩から手を離し
｢寒いから今日はもう村へ帰ろう。｣、そう言って白くなりつつある視界の中を歩き出した。
瞬間、アルタは顔をしかめてふらつく。
｢アルタっ__！！｣
そして真っ白な雪の上へ倒れ込んだ。
……ビュォオオオオ_________
今まで味わったことの無いほど強い吹雪が周辺を包み込んでいく。
「っ、吹雪が…」
____そうして、魔法使いの約束は破られた。
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ユリア(プロフ) - 切なくも微笑ましい素敵な作品をありがとうございました!!それぞれのキャラの感情の変化がよく描かれていてとても心に刺さりました。これからも作品作り頑張ってください！ (3月25日 14時) (
レス) @page41 id: 729d7bbd60 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - 完結おめでとうございます！そして今まで、切なくも面白いストーリーをありがとうございました！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page41 id: 19e03b5c2e (このIDを非表示/違反報告)
えれのあ＊(プロフ) - あっ、すきです…(死) (2022年4月7日 6時) (レス) @page37 id: 990fe64fbf (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - 素敵な作品をありがとうございます。更新楽しみにしています！ (2021年9月25日 12時) (レス) id: 0a11424034 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - ヤバいめっちゃ展開気になる…！！相変わらず面白くて素敵なストーリーです！更新楽しみにしてますね！！ (2021年8月8日 12時) (レス) id: 53cc7f4ab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カシワ | 作成日時：2020年12月31日 11時
