最低な英雄【フィガロ･魔法使いの約束】

Episode 18 ページ20

フィガロ様は混乱している私に構わず、どんどん話を進めていく。

どういうこと……？アルタは、フィガロ様に会ったことがあるってこと？



･ ･ ･


あの後、フィガロ様に流されるまま魔法舎の中へ案内され、魔法舎の空き部屋で一晩過ごすことになった。



コンコンコン



「あ……はい！」


ノックの音がして、私は扉の方へ向かう。
あの日と一緒ならきっとスノウさんとホワイトさんのはずだ。


私はドアノブに手をかけて扉を開く。

しかし扉の前にいたのはフィガロ様だった。



「フィガロ様……」


「こんばんは、ちょっと良いかな？」


フィガロ様は部屋へ入ると、部屋にある椅子に腰掛けた。


「何か御用ですか？」


私が訊ねると、フィガロ様は机に置いてあったブローチを手に取りながら口を開く。


「さっき会った時に君の話を全然聞けなかったと思って。
俺になにか用があって来たんでしょ？」


「あ……」



すっかり忘れていた。
私はフィガロ様との恋をやり直しに来たのだ。


「まぁ……大方予想はついてるけどね？」


フィガロ様は大人な笑みを浮べる。


「っ…」



かっこいい。


そうだ。
アルタの為にもちゃんと恋を成就させないと、それこそ失礼かもしれない。





「私を娶ってください……！！」



腰の角度は90度！！


私は勇気を振り絞り 勢い良くフィガロ様に頭を下げる。



フィガロ様をちらりと見ると、予想の斜め上だったのかちょーーっとだけ驚いたような顔をしていた。

しかしそれも一瞬。



フィガロ様は椅子から立ち上がると、


私の顎を持ち上げ、顔を近づけて








「俺は簡単には落ちないよ」





と耳元で囁き部屋を出ていった。

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