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Episode 17.5 ページ19

それは北の国のとても寒い日の事だった。
北の国はいつも寒いが、その日は特別寒かった。

そんな日に、とある村の青年は旅の支度をしていた。
青年とは言っても、まだ顔には少年の面影が残っている。

彼は彼の父親に一言告げると家を出て、箒にまたがって南の国を目指した。

すぐに壊れてしまいそうなほど質素な箒で猛吹雪を越え、半日程度で南の国へついた。

そこには彼の憧れであり恋敵の、フィガロという魔法使いがいる。彼は今日、その魔法使いに弟子入りすべくここまでやって来たのだ。

フィガロの家だという建物に着きノックをすると、中から医者のような男が出てきた。
彼は青年を中へ招き入れた。


青年は名をアルタと言った。
彼はここに来た経緯を話す。

《俺には好きな子がいるんだ。だけど、遠い昔に村を助けたって言うあんたのことしか興味が無い。

……俺も、あんたみたいな立派な魔法使いになれたら、あの子も俺を見てくれると思うんだ。》


フィガロは微笑みながら話を聞いていたが、彼の申し出をやんわり断った。

青年は残念そうだったが、再び箒にまたがった。
すると、青年が飛び立つ前にフィガロは彼にブローチを1つ渡した。

《君の気になる子にあげるといいよ。貴重なフィガロ先生のグッズだからね。》


と言って。


村へ戻ると、彼は早速彼女の家を訪ねた。
もう夜も遅く眠る寸前だった彼女に、青年はフィガロから貰った緑の大きな宝石のついた可愛らしいブローチを贈った。

青年はフィガロからの物だとは言わなかった。
きっと、信じて貰えないから。

彼のことを魔法使いだと知っているのは両親だけ。
北の国では魔法使いにいい印象はない。生きるために、村が加護を求めるだけの存在。
次期村長が魔法使いだと知られたら、皆安心できなくなる。それに青年自身も苦しくなるだろう。

だから秘密にしているのだ。



……だから、彼女は知る由もない。





幼い頃に彼と結んだ婚約は、









ーーー魔法使いの、約束なのだと。

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設定タグ:魔法使いの約束 , まほやく , フィガロ   
作品ジャンル:恋愛
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ユリア(プロフ) - 切なくも微笑ましい素敵な作品をありがとうございました!!それぞれのキャラの感情の変化がよく描かれていてとても心に刺さりました。これからも作品作り頑張ってください! (3月25日 14時) (レス) @page41 id: 729d7bbd60 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - 完結おめでとうございます!そして今まで、切なくも面白いストーリーをありがとうございました! (2022年4月27日 22時) (レス) @page41 id: 19e03b5c2e (このIDを非表示/違反報告)
えれのあ*(プロフ) - あっ、すきです…(死) (2022年4月7日 6時) (レス) @page37 id: 990fe64fbf (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - 素敵な作品をありがとうございます。更新楽しみにしています! (2021年9月25日 12時) (レス) id: 0a11424034 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - ヤバいめっちゃ展開気になる…!!相変わらず面白くて素敵なストーリーです!更新楽しみにしてますね!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 53cc7f4ab0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カシワ | 作成日時:2020年12月31日 11時

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