Episode 17 ページ18
やっと魔法舎に辿り着いた。いつの間にか空はオレンジ色に染まってる。
身体検査だのなんだのっていう厳しい検査を終えたばかりで、ちょっと疲れた。
……あの日と全く同じだった。
前に並んでいた人も、検査をする人も何もかも。偶然と呼ぶにはあまりにも出来すぎている。
だけどお母さんもお父さんも私が1度中央の国へ行ったことを知らなかった。
……北の国でのことはあったかもしれない過去なのかも。でも中央へ来てからは1度経験した過去だった。
つまり、今ここで…魔法舎の前でフィガロ様のことを呼べば……。
「フィガロ様……」
「俺がどうかした?」
私の予想は的中した。
バッと後ろを振り返ると、そこには白衣を纏った背の高い男の人が立っていた。
あの日と同じ大人な笑みに、魔法をかけたフィガロ様にここが過去という自覚がないことを察した。
「フィガロ様……っ。」
私は泣きそうになるのをぐっと堪え、あの日と同じように、フィガロ様の英雄譚を渡そうとカバンを漁る。
しかしカバンの中にはお金と少しの食べ物、それから身体検査の結果しか入っていなかった。
そうだ、あの時必要最低限しか持ってこなかったから……。
「えっ…と。」
私がオロオロしていると、フィガロ様が先に口を開いた
「そのブローチ……もしかして、アルタの知り合い?」
「えっ」
フィガロ様は私の鞄に付いているブローチを見ていた。
アルタのことを…知ってるの……?
「そのブローチ…。もしかして君、Aって名前?
前にアルタって男の子が俺に弟子入りを志願してきた時にあげたんだ、それ。」
93人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - 切なくも微笑ましい素敵な作品をありがとうございました!!それぞれのキャラの感情の変化がよく描かれていてとても心に刺さりました。これからも作品作り頑張ってください! (3月25日 14時) (レス) @page41 id: 729d7bbd60 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - 完結おめでとうございます!そして今まで、切なくも面白いストーリーをありがとうございました! (2022年4月27日 22時) (レス) @page41 id: 19e03b5c2e (このIDを非表示/違反報告)
えれのあ*(プロフ) - あっ、すきです…(死) (2022年4月7日 6時) (レス) @page37 id: 990fe64fbf (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - 素敵な作品をありがとうございます。更新楽しみにしています! (2021年9月25日 12時) (レス) id: 0a11424034 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - ヤバいめっちゃ展開気になる…!!相変わらず面白くて素敵なストーリーです!更新楽しみにしてますね!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 53cc7f4ab0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カシワ | 作成日時:2020年12月31日 11時