検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:26,441 hit

Episode 10 ページ11

「このことは、絶対に他言しないで欲しい。」


彼の強い瞳に、私は深く頷いた。

彼は東の魔法使いらしい。東の魔法使いは人付き合いをあまり好まないと聞いた。

……よっぽど大切な話なのだろう。


「分かりました。」


彼は私の顔をじっと見つめ、少しだけ表情を緩めた。
だがそれはほんの一瞬。

再び真剣な表情をして、口を開く。


「あいつは…



フィガロは近いうちに石になるかもしれない。」




「え……?」


この1週間で魔法使いについての基本知識は何となく覚えたつもりだ。

魔法使いが石になるということは、即ち、“死”を意味する。

この人は、私が魔法使いについて何も知らないと思ってからかっているんだろうか?


「石にって…そんな、笑えないですよ」


私は冗談を聞いたように笑って返す。
彼は私をからかっているんだと思って。

……からかいであることに期待して。


「本人から聞いたんだ。この話は僕しかしらない。…50年後かもしれないし、5年後かもしれない。もしかすると来年かもしれない。そうあいつは言っていた。
人のことを簡単に見捨てるような男だ。本当かは分からない。」


「…………。」


なんと返事をしたらいいのか分からず黙りこむ。
期待が外れたことは確かだった。


「少なくとも僕は信じていない。だが、もし本当なら、君が生きているうちにあいつは石になる。



……君はフィガロに惚れているんだろう。」


「えっ」


「正直、もっといい相手がいると思う。このままだとどの道君が傷つくだけだ。」

Episode 11→←Episode 9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
設定タグ:魔法使いの約束 , まほやく , フィガロ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユリア(プロフ) - 切なくも微笑ましい素敵な作品をありがとうございました!!それぞれのキャラの感情の変化がよく描かれていてとても心に刺さりました。これからも作品作り頑張ってください! (3月25日 14時) (レス) @page41 id: 729d7bbd60 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - 完結おめでとうございます!そして今まで、切なくも面白いストーリーをありがとうございました! (2022年4月27日 22時) (レス) @page41 id: 19e03b5c2e (このIDを非表示/違反報告)
えれのあ*(プロフ) - あっ、すきです…(死) (2022年4月7日 6時) (レス) @page37 id: 990fe64fbf (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - 素敵な作品をありがとうございます。更新楽しみにしています! (2021年9月25日 12時) (レス) id: 0a11424034 (このIDを非表示/違反報告)
めふぃ - ヤバいめっちゃ展開気になる…!!相変わらず面白くて素敵なストーリーです!更新楽しみにしてますね!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 53cc7f4ab0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:カシワ | 作成日時:2020年12月31日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。