ハッピーエンドを探す旅【WEST】 (ページ9)

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6 忘れられない人ページ9

年が経ち、俺は大学2年生になった。
楽しい大学生の生活を満喫している。
｢小瀧！お前またお洒落な格好して、ほんまお前かっこええなぁ、そりゃモテるわな｣
大学の先輩、重岡大毅は俺にいつも話しかけてくる。
俺の事が好きなんじゃないかってくらい。
｢そんなことないっすよ笑、先輩こそモテてるじゃないですか｣
｢お前なんや、奢られたいんか？｣
｢え、そんなんじゃないですよ｣
｢今日飲み行くか！｣
｢未成年です｣
｢オレンジジュースでも飲んどけ｣
この先輩はサークルで知り合った。
俺の知ってる先輩の中で1番仲がいい。
俺はこの大学生活が結構充実していると思ってる。
でも、彼女、恋人は出来たことがなかった。
｢お前、なんでそんなモテてんのに彼女おらんのか、不思議やわ｣
実際、俺は大学に入って何度も告白をされた。
可愛い子、優しい子、綺麗な子もいた。
いい子だなとか、思ったことはある。
でも、恋愛感情をもつことはなかった。
彼女が欲しいという願望も持つことがなかった。
彼女だけではなくて、それは物も同じ。
欲望が俺にはない。と言ってもいいほど欲しいものが見当たらない。
誕生日プレゼントも欲しいものがなくて、貰うことなんてなかった。
そんな俺でも、欲しいものを見つけたのは高校二年生の時出会った、神山智洋だけ。
寝る時も起きる時も大学にいても考えるのは神山智洋の事だけ。
どこで何してるんだろうとか、恋人ができたのかとか、そんなことばっかり。
俺が恋を出来ないのは、神山智洋を忘れることが出来ないから。
違う。恋が出来ないんじゃなくて、恋をしているから。
忘れられない恋を、終わることの出来ない恋をしてしまっているから。
このことを考えた夜、居酒屋に重岡先輩と来ていた。
もう、全て忘れたい。
あなたの事を忘れたい。
その一心で未成年なのに、お酒を呑んで呑んで泣いて、大声を出して泣いた。
お酒も心もにがい、くるしい。
他のことを考えたくても考えられないこのもどかしさが心苦しかった。
次の日、俺は自分のベッドで寝ていた。
机には、｢カギ勝手に使わせてもらった。今日はゆっくり休め｣と置き手紙とカギがあった。
立ち上がろうとしたけど、頭が痛くて、動くことをやめた。
こんな時に考えることもあの人のことだった。
お酒を呑めば忘れてしまうと思ってたのに。
強く、忘れたいと願えば忘れられると思ったのに。
｢くそ、、｣

どうやったら、あなたを忘れることが出来ますか。