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みんなが帰ろうとしてるところ。
俺は、人気の少ない場所にいた。
そして、好きな一人の男と2人きり。
｢ごめん、急に呼び出して｣
｢ん、どうしたん？｣
ここまで来て、言おうか言わないか迷ってる自分がいる。
｢もう、卒業、やな｣
｢うんそうやな｣
｢寂しいな｣
｢うん｣
当たり前のことを次々と言葉にしていく。
いつもとは違う俺に、神ちゃんは少し心配そうな顔で見つめていた。
それに少し焦ってしまう。
｢その、大学別やけど仲良くしてな？｣
早口になった俺を神ちゃんは微笑む。
そして、俺に向かって言葉を伝えた。
｢当たり前やろ、小瀧くんは俺を救ってくれたから｣
俺が神ちゃんを救ったことなんて思い出す限りなくて、よく分からない。
｢救ったかはわからんけど、とりあえず友達になれて良かった｣
俺が言うと、神ちゃんはため息をついた。
｢小瀧くんって、恥ずかしい言葉をすらすらと言うねんから｣
照れながら言う神ちゃんは本当に愛らしかった。
もうこの波に乗って言ってしまおうか。
"好き"
この2文字を言葉にすると数秒後の未来、何が起こるのか。
｢あのさ｣
言葉に表すのはすごく難しい。
でも、好意を言葉にするのは、もっと難しかった。
｢ん？｣
神ちゃんを見れば見るほど言葉は詰まって出てこない。
｢いや、えーと、じゃあもう帰るな？｣
俺はこのまま自分の声に気持ちが乗ることはないと確信したため、帰ろうとした。
｢あー、一緒に帰る？｣
そんなところに神ちゃんが、一緒に帰ることを提案してくる。
｢うん｣
やっぱり、出てこなかった。
好きという2文字がどうしても声に出なかった。
一緒に帰るという俺にとってのイベントももう終わりに近く、
もう終わってしまう。
｢じゃあね、小瀧くん｣
その言葉が、すごく悲しかった。
｢またな、神ちゃん｣
少し悲しそうに神ちゃんは笑った。
最後まで出てこなかった。
情けなさすぎて自分のことを笑った。
俺は何も成長していない。
本当に悲しかった。
好きな人に会えて、
好きな人と話せて、
好きな人に想いを伝えれる環境で、
俺は何も出来なかった。
こうして俺の高校生が終わった
と同時にこの恋に幕が閉じた。
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作者名：ちょこみんと | 作成日時：2022年10月10日 18時
