桜と君 ページ23
煉獄side
怯えた目をしていた。体が震えていた。
そんな思いさせるつもりではなかった。
だが、好いているAが死のうとしていることに苛立った。
いや、それよりもそう思わすようにしてしまった俺自身に一番腹が立った。
本当は説得して、共に生きようと言うつもりだった。
だが、何故か言えなかった。
本当に不甲斐ない。俺はいつも大切なことを言えない。そして後になって後悔する。
それは母上の時も、Aを守れなかった時も経験したはずなのに俺はまた逃げようとしている。
「よもや、よもやだ。」
Aが目覚めたらちゃんと言おう。
また後悔しないように。もう逃げないように。
“君には幸せになって欲しい”と。
もう、俺の気持ちなど届かなくていいのかもしれない。いや、届かぬ方がAの幸せなのやもしれん。
縁側に座れば目の前には桜があった。
日に当たる桜の香りはAと同じで俺を落ち着かせてくれた。
俺は桜を見る度に、春の香りを嗅ぐ度にAを思い出し、また思いを馳せるだろう。
Aが幸せならそんな人生でもいいのかもしれない。
俺は柱にもたれて目をつぶった。
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Miyuki(プロフ) - 柑橘蛍さん» ありがとうございます! (2021年3月3日 22時) (レス) id: 07ac9a1952 (このIDを非表示/違反報告)
Miyuki(プロフ) - 柑橘蛍さん» 先に指摘頂いていたのに気づかず返信していませんでした………大変申し訳ございませんでした!指摘ありがとうございます! (2021年3月3日 22時) (レス) id: 07ac9a1952 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 完結おめっとさん!(??) (2021年3月3日 22時) (レス) id: e14d5de1d5 (このIDを非表示/違反報告)
Miyuki(プロフ) - ツナミカワさん» すみません!!いつも指摘して頂きありがとうございます!! (2021年3月1日 22時) (レス) id: 07ac9a1952 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 『そんなこと、どうでもいいんだ。 俺着好きなのは君なんだ、名前。 家柄が問題なら、俺が煉獄家を出よう。 そして山奥に家でも立てて2人で、いや子供と俺たちで暗そうじゃないか。』ここの所誤字ってますよ (2021年3月1日 13時) (レス) id: 3c9510fdcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Miyuki | 作成日時:2021年1月9日 23時