いつか君にーこれからは君と共にー

大切な君 ページ21

煉獄side

呼吸を使えなくなったといえど、俺はAの師範だ。Aを気絶させる事は難しくはなかった。
Aの顔を覗けば少し顔色が悪く、前よりも細くなったように感じる。
胡蝶が言っていた睡眠不足と栄養不足が原因だろう。




｢俺は、君にとって頼りない男だろうか？
君はいつも一人で悩んで、そして解決してしまう。
俺は………君が大切なんだ。失いたくない。｣





届きもしない言葉をAを抱きしめながら伝えた。そしてAの唇に接吻を1つ落とし姫抱きにして俺の屋敷へと向かった。




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屋敷の中の1番奥。
Aに立ち入り禁止を言い渡していた部屋。そこに布団を敷いてAを寝かせた。


着ている着物は俺の与えた桜色の着物。
シワにはなるだろうがまた買ってやればいい、今ここで脱がせては持ちこたえる自信はない、と判断し脱がせるのはやめた。



『れん、ごくさん………ヤダよ…………
父さん、母さん………………………待って……………』


だいぶうなされているようだった。



｢A、もう頑張らなくていいんだ。
君の幸せを誰もが願っているぞ。｣


そう言いながら頭を撫でれば


『んっ……………』

と返事のように俺の言葉に反応した。




本当に可愛らしい。
君が自分自身を捨てるというのなら、俺が君をもらおう。



目が覚めたら、しっかり言い聞かせねばならんなと思いながら俺もAの横に寝転んだ。

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