ただ一つ ページ19
煉獄side
行くところはひとつしか思い浮かばなかった。
それは俺とAが初めてであった場所。
あの桜のある川のところ。
そしてやはり、そこにAはいた。
『月が、綺麗ですね』
本当に綺麗なのは君だ、A。
街灯に照らされた桜の木の下で橋に腰をかけている姿は、風で髪が揺れてまるで桜の精が桜に話しかけているかのようで美しい。
そしてその言葉の返事はもう決まっている。
「君と見る月だからだろうな」
『意味、知っているんですか?』
「あぁ、昔千寿郎に教えてもらったんだ」
初めはこの言葉も知らなかった。
千寿郎が頬を染めていた日、聞いた言葉だった。今思えば聞いておいてよかったと思う。
『何故ここに?』
「君ならば必ずここにいると思ったんだ。
ここは俺と君が初めてであった場所だからな」
ここにいるということは、少なからず俺を思ってくれているということだろう?
俺と同じ気持ちだということだろう?
そう聞きたい。今すぐに抱きしめてしまいたい。
だが、Aから帰ってきたのは俺の想像する言葉ではなかった。
体が動かない。Aは嘘は言わない。
つまり、俺はこれ以上近づいてはならない。
だが、ここで諦めたりなんかしない。
俺がやることはただ一つだ。
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Miyuki(プロフ) - 柑橘蛍さん» ありがとうございます! (2021年3月3日 22時) (レス) id: 07ac9a1952 (このIDを非表示/違反報告)
Miyuki(プロフ) - 柑橘蛍さん» 先に指摘頂いていたのに気づかず返信していませんでした………大変申し訳ございませんでした!指摘ありがとうございます! (2021年3月3日 22時) (レス) id: 07ac9a1952 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 完結おめっとさん!(??) (2021年3月3日 22時) (レス) id: e14d5de1d5 (このIDを非表示/違反報告)
Miyuki(プロフ) - ツナミカワさん» すみません!!いつも指摘して頂きありがとうございます!! (2021年3月1日 22時) (レス) id: 07ac9a1952 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 『そんなこと、どうでもいいんだ。 俺着好きなのは君なんだ、名前。 家柄が問題なら、俺が煉獄家を出よう。 そして山奥に家でも立てて2人で、いや子供と俺たちで暗そうじゃないか。』ここの所誤字ってますよ (2021年3月1日 13時) (レス) id: 3c9510fdcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Miyuki | 作成日時:2021年1月9日 23時