ポートマフィアの少女は夜桜姫 番外篇 「から紅の恋歌」

★恋歌・拾参.伍 ページ29

Aが完全に寝てたとき、中也と治はまだ起きていた

治「………」

中也「………」

ふたりは静かに上半身だけ起こし互いを睨み合う

中也/治「Aから離れろし/てよ」

二人の言葉は重なる、お互いに同じ意見で

中也「Aは俺のモンだ。手ェ出すな」

治「嫌だね」

暫くの間二人の中に沈黙が流れる

治「Aは"高嶺の花"だ」

急に治が口を開き言い出す

治「ポートマフィアの「高嶺の花」と云ったら姐さんかもしれない」

治「けど、Aも高嶺の花(・・・・)と同じようなもの」

中也「……急になんだよ」

治「IFだよ。Aが私の彼女だったらって思ってね」

中也「二人揃って武装探偵社に入ってんじゃねぇの」

治「若しかしたら残ってるかもよ？」

治「まぁそんな「高嶺の花」を手に入れた君が羨ましいのだよ」

中也【高嶺の花か】

治「彼女を傷つけるような事したら許さないからね。いつでも彼女を狙ってるし私のモノするから」

中也は舌打ちをしまた二人の間に沈黙が流れる

中也「なァ太宰俺に云ったよなAを「誰かの代わりを容易く任せる気か」って」

治「あぁ云ったさ」

中也「確かにAなら誰かの異能力(・・・・・・)があればいくらでも「代役」になる」

治「……」

中也「“百面相”なんて容易だ」

治「あぁそうだね」

中也「だからって俺は此奴を誰かの代わりにさせる気なんてねェけど」

治「そうやって口だけは何とも云えるけど実際はどうかな」

中也は治を見て「なんだと？」と聞く

治「気づけば彼女は誰かの「代役」を演じてる」

治「彼女に異能力(台本)があればその「代役」演じることが出来る」

中也【異能力あれば、か】

治「君は前に私に云ったよね「手前の代わりなんざ幾らでもなれる」って」

中也「……」

治「Aは私の代わりにいくらでもなれるってことだよね」

中也はその言葉にさらに追い討ちをかけられた

治「その口でよく「誰かの代わりをさせる気は無い」っていったもんだ」

中也「……」

治「いっとくよ中也、Aがその気になれば『汚濁』だって使う」

治「もう一度いっとくけど、彼女を傷つけるような事したら私が許さないよ。そしていつでも私は彼女を自分のモノするから」

その時、Aが寝かえりをし中也の方を向く

中也「此奴は俺のだ……手前みたいな自 殺野郎に渡さねぇよ」

中也【それに『汚濁』を使うのは俺だけでいいこいつに絶対に使わせるもんか】

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