風のささやき《赤》 (ページ3)

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．

そこからどうしていたのかも、よく覚えていなくて

気付けば夕方になり、大ちゃんが駆け付けてくれて

顔を見た瞬間に、全てが緩んだ気がして

大ちゃんの胸で泣きじゃくる私を、

彼はずっと受け入れてくれていて

『今日ねっ、お母さんとお父さんっ、結婚記念日で、』

「おん…そやな」

『お父さん、午前で仕事、終わらせて

2人で、ランチ行くんだって、喜んでてっ』

「…おん」

『帰ったらっ、お母さんとお父さんに、

おっきい花束あげようって、思ってたのに』

どうして、どうして今なの、今日なの

「泣きたいだけ泣き、」

そう言ってくれた彼は、とても温かかった

．

その後、私は近くに住んでいた唯一の親戚である祖母に引き取られ

葬儀などを全て済ませ、日常に戻ろうとしていた

泣きじゃくったあの日、大ちゃんは朝まで一緒にいてくれて

寂しさを拭えない私に

「悲しい時も、寂しい時も

俺が近くにおるってこと忘れんな」

という言葉通り、ずっと傍にいてくれた

翌日の夏祭りは、当然行けなくて

毎年2人で見る花火も、1秒たりとも見れなかった

いつかまた、2人で笑い合いながら見たい

そう思える余裕も出てきた

大ちゃんと笑いたい

私は、前を向き始めていた