いつか君に

そっくりな女 ページ49

愼寿郎side


杏寿郎の新しい継子が挨拶に来た
杏寿郎から、継子にAと言う女を
取ったという話は聞いていた




『失礼します
お初にお目にかかります、Aと申します
本日付けで煉獄杏寿郎様の継子となりました
以後お見知りおきをよろしくお願い申し上げます』


声を聞いて驚いた
まるで瑠火のような芯の通った声だった


こいつも杏寿郎と同じ愚か者だ
俺は他人に対しても

｢貴様がAとかいう娘か
阿呆らしい、鬼殺隊に女が入ったところで何になるというのだ
どうせ皆死んでしまうのだ
そんなに死に急ぎたいのか？｣



などと嫌味なことを言ってしまった



泣いただろうか？

チラリと女を見る
そこには瑠火が座っていた


いや、正しくは瑠火にそっくりな女が
俺の方を向いて座っているのだ


思わず女の肩を両手で掴み
もう一度名を尋ねていた


『Aと申します』


知らない名だった
瑠火との関わりも無さそうだ



神は俺に罰を与えるつもりなのだろうか
それとも幸を与えるつもりなのだろうか


そのあとしばらく俺の頭の中は
あの女のことで頭画いっぱいだった



瑠火………
俺はこの女を育てあげればいいのか？
それとも守ってやればいいのか？


教えてくれ……



夜に浮かぶ月に小さく呟き尋ねるが
もちろん返事など帰っては来なかった


ただ、瑠火が隣で微笑んでいるような
そんな暖かい気持ちになった

朝→←御父上殿

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