図書室の彼女

病院 ページ23

目を開けると
白い天井が見えた
横を向けば煉獄さんが手を握って眠っていた

寝ている姿もかっこいいなぁなんて思っていると

｢A！起きたのか！
体は大丈夫か？｣


心配そうに私の顔を見る煉獄さん
せっかくのお出かけ……
私のせいで台無しにしちゃった………


『煉獄さん、ごめんなさい………
せっかくお出かけの約束してたのに』


｢何を気にすることがある！
また今度行けばいいでは無いか！！｣

そう煉獄さんは言ってくれるけど


『煉獄さん、あの、私は煉獄さんに言ってなかったことがあります………』


｢…………｣



煉獄さんも察しがついているのだろう
私の頭を優しく撫でてくれた


｢辛かっただろう、苦しませてすまなかった
言わなくてもいい、この前君が咳き込んだ時俺は君が吐血したのを見た
君は隠すようにしていたからあえて触れなかったんだ
すまない、もっと寄り添ってやれれば………
君は、君は………苦しまずに済んだのだろうか…｣


『煉獄さん、そんなことありません
私はあなたと過ごせた時間はとても幸せでした
あなたに会うまで私は死ぬ事ばかり考えていた
けれどあなたに出会ってからは生きたいって思えたんです』


私の手を握り煉獄さんは涙を流す


｢A、もっと早く言うべきだった
俺と、付き合ってはくれないか？｣


『煉獄さん、もう遅いですよ………
私はもう半年も無い命です………
もう、遅いんですよ………』


｢そんなことは無い！
半年もないうちに死ぬと決まったわけではない
俺が毎日そばにいる
俺が毎日君を笑わせてみせる
だから……だから、俺と残りの人生を生きてくれないだろうか…………｣


『煉獄さん……そんなのずるすぎます
そんなこと言われたら、私断れないじゃないですか……』


私は何か糸が切れたかのように泣いた
それを煉獄さんは


｢辛かったな、頑張った、偉いぞ？｣


沢山抱きしめてくれた


今日、私と煉獄さんは
いや、杏寿郎さんは付き合うこととなった


私の残されたわずかな時間
彼は共にいてくれると言った


私はもう思い残すことは無い
もう、十分すぎる幸せを貰ったから

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