柱最強の雪柱は炎柱の前では最弱のようです

昨夜の兄上 ページ29

千寿郎side



｢はぁ……｣


朝餉を作りながらつい大きなため息が出てしまう
昨夜はなんて所を見てしまったんだろうか



｢どうした千寿郎、何か悩みでもあるのか？｣




まだ慣れない手つきで包丁を握る父上が心配そうに見つめる




｢えっ？あ、はい！
な、なんでもないです！はい！大丈夫です！｣




昨夜の場面を思い出したら何だか恥ずかしくなって返事に戸惑ってしまった
怪しまれただろうか？




｢そうか、ならいいんだ
あまり無理はするなよ｣




父上はそう言ってまた野菜を切り始めた




そう、言えるはずがないんです
昨夜、兄上のお部屋に伺った時に幸村様の額に兄上が接吻をしていたなんて………





兄上と幸村様に会った時、どんな顔をすればいいんだろう





そんなことを悶々と思いながら朝餉の準備をする






｢おはよう！！｣


『おはよう……ございます』




後ろを振り向くと兄上と幸村様が立っていた




｢おはようございます！兄上、幸村様｣




上手く返事出来だろうか？
そんな不安と昨夜を何度も思い出す自分が恥ずかしくて、すぐに朝餉の準備をすると言い訳して2人には台所を出てもらった




｢よもや、よもやです…………｣




｢…………｣





僕は父上がおられるのも忘れてそう呟いていた

逃げられない→←嘘だよね？

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