柱最強の雪柱は炎柱の前では最弱のようです

お願いします…… ページ25

Aside


しばらく掴まっていれば｢着いたぞ！｣という煉獄さんの声がした
顔をあげれば大きなお屋敷が私の前にそびえ立っていた



｢では行こうか！父上と千寿郎も驚くだろうな！｣



そう言って煉獄さんは私を抱き抱えたまま歩き出す
いやいや、ちょっと待ってよ！こんな格好で入ったりしたら煉獄様や弟さん驚いちゃう！



『煉獄さん！ちょっと待ってください！！』


｢なぜだ？父上は君に怒ってなどいないから安心するといい！！｣


『そ、そうじゃなくて！！』


｢うむ、この話はこれで終いだ！行くぞ幸村！！｣



私の意見を聞く前に煉獄さんはスタスタとお屋敷に入ってしまった


｢父上！千寿郎！ただいま帰りました！！｣



｢兄上！おかえりなさ…………ｲﾏｾ………………｣




あぁ、やっぱりそうなるよね
兄が女の人を姫抱きにして帰ってくれば驚くよね？
よりにもよって、この前自分の父親に毒を吐いた女なんだから




『れ、煉獄さん！！下ろしてください！！』





呆然としている弟さんを呼び戻すためにも
煉獄さんの胸板を叩いて主張する




｢だが断る！！｣


『はぁ？』




そんな返事をされて私も間抜けな声が出た
いやいや！弟さん固まっちゃってますけど？
大丈夫じゃないよね？？




『煉獄さん！千寿郎君が大変なことに！！』





そう言えば煉獄さんは少し口を尖らせた
ちょっと可愛いなんて一瞬考えてしまった
千寿郎君、本当にごめんなさい




｢大丈夫だ！千寿郎は強い子だ！安心するといい！！｣



『…………』




私と少し会話が噛み合っていないまま話が進む





｢杏寿郎、いつまでそんなところに…………｣





私たちの声を聞き付けたのか玄関まで来た煉獄様
けれどこの様子を見て煉獄様まで固まってしまった
煉獄さんは｢よもやよもやだ………｣とか言ってるけどそれどころじゃない




『下ろしてください！煉獄さん！！！』






そんな私の切なる願いだけが夜の空に木霊した

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