私を探して【太宰治】part２

黒い霧 ページ2

敦side




敦「鏡花ちゃん、大丈夫？」

鏡花「………うん」


鏡花ちゃんは下を向いたまま
こちらを見ようとしない

鏡花ちゃんがこうなってしまったのは
探偵社員としての初任務に
失敗してしまったからである


敦「……あ！」


僕は噴水近くに
クレープ屋があることに気づいた


敦「ちょっとまってて鏡花ちゃん」

鏡花「…？……うん」





−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
鏡花side



初任務に失敗した


こんなんじゃAを守るなんて無理…
もっと強くならなきゃ…強く



鏡花「もう、守られるだけじゃ…」ﾎﾞｿｯ

敦「はい、鏡花ちゃん」



彼は私にクレープを差し出した
私の鼻に甘く優しい香りが届く

私はそのクレープを受け取り
自分の口へと運ぶ

ふわふわの生地に甘いクリーム
優しい味が私の心を包んでいく



敦「今回は失敗しちゃったけど
次頑張ればいいんだよ…ね？」



そう言って彼は微笑んだ
彼といると何故か心が暖かくなり
空っぽだった心が満たされていく気がする



鏡花「……ありがと」ﾆｺｯ

敦「…っ///」



そうだよね、次頑張れば



？「君に次なんて存在しないよ」

敦「……ｸﾞﾊｯ」

鏡花「…え？」



彼の躰貫く刃



敦「……ﾊｧ､ﾊｧ」

？「白虎の異能をもつと聞いたから期待していたのに…なんかガッカリだよ」



私達の目の前にあらわれたのは
黒い仮面に黒い外套…全身を黒で纏う男



鏡花「あなたは誰」



私は敦を抱き上げ
黒い男から一線を引く



？「そうか、君に会うのはこれが初めてか
……初めまして森鴎外の息子、森隆一です
以後お見知りおきを」

敦「森……」

鏡花「隆一」



この男がAが怯えている相手…



隆一「さぁ、鏡花。僕と一緒に来てくれ」

敦「鏡花ちゃんは渡さない！鏡花ちゃんはもう探偵社員だ」

隆一「……鏡花、”闇の花は闇にしか憩えぬ”
…これは紅葉さんからの伝言だよ」

鏡花「………」

隆一「君は暗殺という才能を持つ闇の花
光の世界で生きるなんて無理なんだよ」



その言葉が私の心に深く刺さる

わかってる…わかってるけど…
それでも…それでも私はっ！



鏡花「それでも私は光の世界にいたい！」

敦「鏡花ちゃん」

隆一「なら、実力行使だ」



男の外套から黒い濃霧が出てくる



敦「鏡花ちゃん、注意して！
アイツの異能が何なのかまだわかってない」

鏡花「うん」


私達がいた広場は
あっという間に黒い濃霧に包まれた

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