救済 ページ47
夜が明け、目覚める。
服を着替えて、飯を食べ、会社に行って、仕事をする。
「何かが変だ」と思いながらも、誰もがこの世界で、当たり前の日常を過ごす。
そして違和感はいつしか消えていく。
平和だった。
「国木田さーん、依頼ですよー」
「何！？また予定が変わるな……」
「芥川、今日は政府の要人の警護だそうだ」
「了承した。襲い来る輩は誰であろうと切り捨てる」
「程々にね……」
「芥川、存分に怪我して帰ってきなよ。
「そ、それは遠慮させていただく……」
「おい芥川！昨日の分の報告書がまだ未提出だぞ！」
「……矢張り、報告書の提出を休耕させれば良いのでは？」
「そんな事が許されるか！！」
誰かがいなくても、世界は廻る。
世界なんてそんなものだ、と太宰は云った。
事実、探偵社は回っていく。
まるで、1人の事務員など、初めから存在しなかったように。
Aは、芥川と敦に嘘をついた。
「芥川さん！ここの机って、誰かいましたかね？」
1人の事務員が、芥川に尋ねる。
事務員のスペースの、窓際にある一台。
芥川は、2、3秒考えて答えた。
「いや、誰も居なかったと思うが」
「やっぱそうですよね！」
「此れを動かして、新しい調査員さんのにしよーっと」事務員は机を運びだす。
Aは、
そして、範囲内の全人間から、自分の存在を消した。
探偵社も、マフィアも、ヨコハマの者は誰も、Aの存在を覚えていない。
また、敦と芥川が去ったのを見て県外に行き、自分を育てた老夫婦からも、自分個人の記憶を消した。
二人に残るのは、養子を引き取り、一人前になるまで育てたという記憶だけだ。
自分が自分である限り、この世界の理から外れ、『異常者』であり続けるくらいなら。
『真実』を知る枠を争い、誰かが死ぬくらいなら。
この世界に、夜月Aが存在してはいけない。
Aは、Aを消した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綺月(プロフ) - やっつーさん» ありがとうございます。長い自粛生活もそろそろ終わりが見えてきました。スピードは落ちると思いますが、これからもよろしくお願いします！ (2020年5月20日 16時) (
レス) id: c6edb3b0cf (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - 桜の下さん» ありがとうございます！作品、拝読させて頂きました。お互い頑張りましょう！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: c6edb3b0cf (このIDを非表示/違反報告)
やっつー(プロフ) - 完結おめでとうございます！これからも健康に気をつけて、頑張ってください！ (2020年5月20日 13時) (レス) id: 7ab3b51d33 (このIDを非表示/違反報告)
桜の下(プロフ) - 完結おめでとうございます！とてもいい作品でした！ありがとうございました！ (2020年5月20日 12時) (レス) id: 28ae7de14c (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - コメント、ありがとうございます。設定や表現は、beast本編を読み込んで、自分らしさと文ストらしさを出そうと作っていった物なので、そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年5月20日 10時) (レス) id: 25e76864a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綺月 | 作成日時：2020年4月19日 15時
