某死神少年との遭遇 〜外出は自粛してもらおうか〜【名探偵コナン】

精神年齢同学年！ ページ7

「なるほど、米花町や杯戸町はここでは漫画の中の存在で、俺の正体もジンやウォッカのことも、たくさんの人が知ってるってわけか……」

　さすが頭脳は大人。呑み込みが早いな。

　少年は白状した。自分こそが江戸川コナン、もとい工藤新一であり、『名探偵コナン』の主人公の情報と一致する、と。

　よかった、私頭のおかしな女にならずにすんだよ。

　いや、これからが面倒なんだけどね。


「そう。ただし物語として完結してないから、組織の倒し方も高校生に戻る方法も、知らないって訳。知ってるとしたら、」

「こっちの世界で『名探偵コナン』の作者になっている『青山剛昌』、か……」

「ま、そういうことだね。でも、会おうったって東京に行くお金も貴方は持ってないし、いきなり『僕コナン！元の姿に戻る方法を教えて！』なんか言っても、教えてくれるわけがない」

　というか、それ以前に生活が危ない。

　工藤新一の姿だったら働くこともできただろうが、江戸川コナンは扶助対象の子どもだ。

「親も不明、知り合いもいない子どもは、警察預かりになって孤児院コースなんだよねぇ……」

「ちょっ？！それはマズい！児童養護施設なんかに入れられたら！」

　少年は途端に焦りだす。まあ、そうだよな。一巻でも、警察の託児所から逃げ出してるような奴だ。

「うん。君が今までやってきたような自由は効かなくなるだろうね」

「それじゃダメだ！『青山剛昌』に会いに行くどころか、元の世界に戻る方法も探せなくなる！」

　やっぱり、元の世界には帰りたいのか。
　蘭ちゃんもいるしねぇ。


「でも私は、君を警察に連れていく以外の対処が思いつかないんだよ」

「こ、この家に居候させてもらうとか……」

「そうしたいのは山々なんだけどねぇ」

　ウチの母、そういう事には厳しいんだよなぁ。

　私の母親は教師だ。しかも、生徒指導課ではないにしろ、割と厳しめの部類。
　クラスの生徒指導はきっちりするし、時にはヤバい保護者と……つまりモンスターペアレントってやつと、バトルしてたりする。

　いや、あの人の話だけで、職業ドラマが描けそうな人なんだよ。怖いもの知らずっていうか、なんて言うか。

　無断外泊をやめさせる立場のあの人が、見ず知らずの子供を泊まらせてくれるわけがない。


「この際、精神年齢同学年なのは気にしないからさぁ、どうにかいい言い訳、考えてくれんかねぇ名探偵さん」


　いや、ほんと、どうにかしてよ名探偵。

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