某死神少年との遭遇 〜外出は自粛してもらおうか〜【名探偵コナン】

テレビを見よう！ ページ26

「さて、コナン君。今日が何曜日か、知ってる？」

　ニヤリとして、尋ねる。
　コナン君は一瞬考えて、答える。

「土曜日……だよね？」


「そう、土曜日。そして、もうすぐ六時」

　私は大きく頷いた。


「六時に、何かあるの？」

　首を傾げるコナン君に、私は壁際の黒い液晶画面を指した。


「テレビをつけてみるといいよ」

「テレビ？……あっ」

　何か気づいたようだね。
　私の口角は、多分、いつもより大分上がっているだろう。


「そう、土曜午後六時といえば！」

「アニメ名探偵コナンの放送時間！」

　リビングに、突如妹が現れる。

　ふふ、来ると思ったよ。
　この時間には、宿題があっても絶対に来ると思っていた。
　10年以上見続けている、『コナン』のアニメがあるのだから！

「夏来さん！」

　妹はニコニコと満面の笑みだ。

「今日は再放送の『絶対に許さない』後半だよ！」

　再放送、ねぇ。ここ最近、テレビはそればっかりだけど、収録ができないんだろう、しょうがない。

　それにしても、『絶対に許さない』ねぇ。


　放送が始まり、最初のCMに入った頃、母さんが帰ってきた。

「ただいま〜って、あ、コナン見てるの？」

　大きな買い物袋を二つ。冷凍食品やらなんやらが一杯詰まっていて、とても重い。母のすごいところは、これが二つともエコバッグだというところだろうか。

　買いだめも大変だ。


「うん。録画の韓ドラは後ね」

「えぇ〜……まあ、いいわよ。太郎君も見てるんだったら」

　小学生には、流石に甘いのか？ 母さんは、ソファに座って一緒にコナンを見始めた。


「ありがとう、瞳子さん！」

　コナン君ナイス。下手したらチャンネル変えられてたわ。



「この事件、覚えてる？」

　コナン君の耳元で囁(ささや)く。

「ああ、ループしているとはいえ、同じ一年間であったことだからな」


　大まかな内容は、こうだ。


　正当防衛で妻を刺してしまった夫。
　でも実は、妻は夫を驚かせてしゃっくりを止めようと、包丁を向けただけだった。
　夫は妻がそうするであろうことを予想して、正当防衛に見せかけた犯行を行う。

　勘違いと気持ちの行き違いのために起こった事件で、実は妻の腹の中には子供がいた。

　コナンと哀は夫を告発せず、妻は夫を許し、警察には事故だと伝える。

　妻は夫を愛するが故に、夫を許した。




「いや、母さんがこの女の人でもそうするね」

　最後のいい場面で、母さんは言った。

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