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未知との遭遇 ページ1

私は、一人、公園のベンチに座って本を読んでいた。

 よく晴れた、四月のある日だった。

 辺りは静かで誰もいない。
 ベンチは丁度、ソメイヨシノの木陰になっていて、心地よい風が時折吹いた。

 こんな日は、外で本を読むのに限る。



「ねぇ、僕迷子になっちゃったみたいなんだけど」


 随分と高い、子供の声。

 私のパーカーの裾が引っ張られる。

 何処かで聞き覚えのある口調。

 顔を上げると、目の前には小さな男の子が立っていた。


「すごい髪型だねぇ、君!……寝癖?」

 この世のものとは思えない、奇跡的な髪の跳ね方の少年が。



「違うよ!……ねぇお姉さん、ここどこ?」

 少年は、心細そうに尋ねる。

 うわあ、私、お姉さんなんて初めて言われたよ 笑
 もう私もそんな歳かあ、感慨深いもんだねぇ。


「お姉さん?」

 見たところ、年は小学校低学年以下ってところか。なら、行動範囲はそんなに広くないよな、私も小学校の頃は狭い校区内ばっかりで遊んで回ってたし。

「ああ、ごめんごめん。ここ?そうだなぁ、中央小学校は知ってる?」

 少年は首を振る。近所の子じゃないのか?

「そっか……じゃあ、中央町っていってもわかんないよなぁ。君、名前は?」

 少年は、何か言おうとして、すぐに押し黙った。どうしたんだ?

「お名前。私は月読(つきよみ)A!君は?」

「えっと、……太郎!平井太郎だよ」

「……は?」

 すんごく低い声が出た気がする。
 心なしか、少年の顔色が悪い。目がそっぽを向いている。

 いや、こんな偶然があってたまるか。



 私は、開きっぱなしだった本をパタリと閉じた。

 カバーが破れかけた、古い本だ。
 表紙には、こう書いてある。

『江戸川乱歩 傑作選』



「ねぇ、もし違ってたらホント申し訳ないんだけどさあ」

 じろりと少年をみる。



「それ、偽名?」


「……なんのことか、ボクわかんないなぁ〜」

 おい、目が泳いでるぞ。


「今時太郎なんて、かえって珍しいねぇ。古風っていうのかな?」

 そう言いながら、表紙裏の作者欄を見せる。

「知ってる?この本を書いた江戸川乱歩っておじさんの本名も、平井太郎(・・・・)なんだよ」

 大粒の汗流すな。というか、本当にそこから取ってたの?

「ビックリするくらい、普通の名前だよねぇ。お姉さん、かえって覚えちゃった」


 親が名乗らせてるのか?まあ、ともかく。


「君、本当に太郎君なのかな?」

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- これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……!このあと続編の方を拝読します!ありがとうございました! (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください! 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか?それとも無しなのか?出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺月 | 作成日時:2020年5月9日 0時

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