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見知らぬ世界の見知らぬ場所で ページ40

気づくと灰原は、見知らぬ場所にいた。


 滑り台に、ベンチ。ここはどうやら公園らしい。

「工藤君が迷い込んだのはここね……」

 周囲に人の姿はない。

 幼児を連れた母親も、遊ぶ小学生も、ベンチで駄弁る女子高生もいない。
 もちろんコナンもいない。


「太陽の高さからして、正午くらいのはずだけど……」

 平日だとしても、こんなに辺りが静かだなんて。

 まさか、町はあっても人がいない世界……!?


 灰原は、公園から出て確かめる。

 歩行者は、一人もいない。
 道幅の割には少ないが、車が走っていた。
 耳を澄ませば、民家からも声が聞こえる。

 とりあえず、人間はいるらしい。どこか様子がおかしいが……

「一旦落ち着いて考えた方がよさそうね……無理に動いたら、こっちが迷子になっちゃう」

 灰原は公園に戻ると、一つだけあるベンチに腰掛ける。

 背が低いせいで、地面に足がつかない。
 灰原は足を宙に浮かせたまま、考え事を始めた。

「時間の進み方が同じかどうかが問題ね……」

 工藤君、浦島太郎みたいになってるかもしれないわよ。

 頭の中で、博士に語りかけてみる。

 脳内の博士は『なあに、もうすでに逆浦島太郎のようなモンじゃろう』と、すっとぼけた。

 もし、こっちの世界の方が時間の進み方が遅いなら、コナンは近くにいるかもしれない。


「逆に、こっちの世界の方が時間の進み方が速いか、どちらの世界も同じなら、工藤君は移動している可能性大……」

 五日以上、自販機もない小さな公園で野宿しているわけがない。こちらの警察に保護されたか、誰かの家に上がり込んでいるのか……

 どこに行ったかが分からなければ、助けようがない。

「彼が救出の可能性に気づいてるとしたら、必ずここに手がかりを残すはず……」

 公園内を探すため、灰原は座面のフチを掴んで体を滑らせ、降りようとした。

 すると、何やら手に紙の感触があった。

 灰原はベンチの裏を覗き込む。

「あった……!」

 テープで貼られた一枚のメモ用紙。

 中を開くと、暗号と思われるものが書かれていた。


ドイルからP.D.ジェイムスへ


「なるほど、私はコーデリア・グレイってわけ?」


 『ドイル』は江戸川コナンの名の元になった『アーサー・コナン・ドイル』を指し、『P.D.ジェイムス』は灰原哀の名の元になった女探偵、『コーデリア・グレイ』を生み出した人物を指している。


 少し考えて、灰原は顔を上げた。

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- これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……!このあと続編の方を拝読します!ありがとうございました! (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください! 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか?それとも無しなのか?出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺月 | 作成日時:2020年5月9日 0時

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