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ジョディの記憶とネタバラシ ページ36

赤井が行方不明になって四日。

 ジョディは呼び出された会議室で、キャメルやジェイムズを待っていた。



 四日前、赤井が消えたのを、ジョディは偶然見てしまった。

 その時赤井は何かを見つけて、しゃがんで拾おうとしていた。

 ライフルバッグを背負ったまま地面に落ちていたらしい何か(・・)を掴んで、そして消えた。

 報告したって、信じてもらえるかどうか。見間違いだと言われるのがオチだろう。

 赤井が消えた場所には、鈍く銀色に光る、サイコロのような小さな金属塊があった。


 少し調べてみたが、鉄やアルミニウムといったありふれた金属ではないらしい。

 FBIを通して専門機関に調べてもらいたいところだが、大ごとにはできない。


「クール・キッドのところのアガサ博士にでも、頼んでみようかしら」

 ジョディは一人、呟いた。



 ところ変わって、三次元側、平井家。

 その日、リビングには平井と赤井しかいなかった。
 平井がスマホを見て、さも今通知が来たかのように言った。

「沖矢さん、アイツから連絡。『道具さえあれば、変装できますか』って」

 赤井は目を若干見開き、平井の方を凝視する。

 平井はバラしてしまいたい気持ちを抑えて、少しだけ茶番を仕掛けることにした。
 ポーカーフェイスを保ちつつ、純粋無垢なふりをして質問する。

「沖矢さんって、変装するの?」


 赤井の慌てようは、ポーカーフェイスで隠されている。しかし平井には、手に取るようにわかった。


「ていうかさ、アイツと知り合い?この前会った時はそんな感じじゃなかったけど」


 Aがコナンの行動を監視し、外出を制限していたのと同じように、平井も赤井を保護して以来、密かに動きを見張ってきた。

 あの日以降、自分の知らないところで互いに会えるはずはない。


 赤井は回答に窮した。
 コナンこと、平井太郎経由で知り合ったと言うか?……いや、平井はAを昔から知っている。コナンの存在さえ怪しまれているはずだ。


 そして、一昨日。コナンと赤井が二人きりになった時、平井とAも二人になっている。


 もし、その時にAが裏切り、バラしていたとすれば……


 今、赤井をわざとらしく『沖矢』と呼んでいるこの少年は、赤井自身のことを知っているのではないか。



「俺は……俺の本当の名前は、赤井秀一。『名探偵コナン』という漫画の登場人物だ」



 平井の唇が、弧を描いた。

運の悪い二人→←とある悪魔の目論み



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- これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……!このあと続編の方を拝読します!ありがとうございました! (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください! 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか?それとも無しなのか?出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺月 | 作成日時:2020年5月9日 0時

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