赤井さんと『名探偵コナン』 ページ29
「ほう、こちらの世界では、俺たちがこう見えているわけか」
Aやコナンたちが『名探偵コナン』を見ている頃、赤井もテレビをつけていた。
赤井が出ている回ではなかったが、コナンの顔は確認できた。
雰囲気や細部こそ同じだが、この世界での顔とはだいぶ違うように見える。やはり、次元が違うというのはそれ程のことなのだ。
そのまま十分ほど画面を眺めていると、平井がスマホ片手に、自室から出てきた。
「いつの間にテレビつけてたの、沖矢さん。あ、コナンやってる」
点いているテレビにすぐ気づき、懐かしむように画面を覗き込む。
「俺はあんまり見ないけど、近所に住んでる幼馴染みがこれのオタクでさあ」
「近所に住んでいる幼なじみ?」
赤井が聞くと、平井は画面から目を離さず答える。
「小学校からの腐れ縁だよ。高校も同じだし」
「そういえば、今日ボウヤを連れてきていた、Aという子も、元クラスメイトと言っていたな」
赤井は、今日の一大ニュースを思い出す。
Aの方は、この少年を苦手に思っているのが丸わかりだったが、何かあったのか。
平井は、少し顔をしかめて、それから思い出すように言った。
「ああ ──アイツとその幼馴染みは、確か仲がよかったよ……特に中学なってから」
そこに繋がりがあったか。
という事は、もしやボウヤが言っていた『Aさんの友達』だろうか?
赤井は、確信はなかったが、念のため聞いてみた。
「その幼馴染みの名前って、もしかして彩か?」
「そうだけど、何で沖矢さんが知ってるの?」
肯定だ。
なるほど、面白い。
「── 太郎君から聞いてな。一度、会ったらしい」
「へえ。── 太郎君と、あのオタクが」
平井は、こっそりニヤリとした。
なるほど、ただバラすだけじゃなくて、直接合わせてんじゃん。
江戸川コナンは、もう俺ん家のすぐ近くまで来てたってわけ?
後はいつ、この人が『俺は気づいてる』ってことに気がつくか……だなあ。
名付けの意味がよく分からないトークルーム『マクスウェルの悪魔たち』の画面をチラッと見て、平井は口角を上げた。
134人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜 - これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……!このあと続編の方を拝読します!ありがとうございました! (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください! 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか?それとも無しなのか?出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綺月 | 作成日時:2020年5月9日 0時