出逢い ページ7
それは、暑い暑い夏の日だった。
私が彼と出逢ったのは。
そして、出逢わなければ良かったと後悔したのは。
窓を閉めていてもセミの輪唱が聞こえ、
真っ青な空にモクモクと浮かぶ入道雲がクックリ見える日だった。
YJ「あっちーーー」
数分散歩に出ただけのユジンが汗だくで戻ってきた。
「こんな暑そうなのによく外に出れるね…」
窓の外には緑生い茂る中庭が見渡せる。
真夏の中庭には誰もいない。
それが暑さを物語っている。
YJ「Aは外出ないの？たまには出てみると気持ちいいよ」
一昨日、ジョンハンが置き忘れていったハンドファンを全力稼働させながらユジンが言う。
「体調が良ければ出たいな」
ずっと病院にいるのはやっぱり退屈だ。
外に出たい。
大空を飛び回る鳥のように自由に…。
YJ「体調良くないのか？」
「まぁね…。慢性的に目眩が続いてる感じかな」
もうだいぶ慣れたけど、しんどいものはしんどい。
寝ている時以外は船酔いしている感覚に近い。
YJ「他にはどんな症状があんの？なんか聞いといたら役に立てるかなって思って。聞いていい？」
「そうだなぁ…。目眩や頭痛が多くて、たまに呼吸も苦しくなる…かな。
ストレスや刺激で症状が悪化するみたいなの」
親や学校の先生以外に病気の話をするのは初めてだ。
もちろん、聞いてくれる友だちも初めて。
こんな話でも真剣に聞いてくれる人がいることが本当に嬉しいんだ。
YJ「…そっか。暑さとかも刺激になるってことか」
納得したようにユジンが呟いた。
かと思えば、何かを思いついたように
YJ「あっ、じゃあさ、好きな飲み物教えてよ」
「え、急に？なんで？」
YJ「いいからいいから」
明るい表情で目を輝かせ、私を見つめるユジン
「強いて言うなら桃味の天然水かな」
YJ「おっけ！じゃあちょっと待ってて」
「えっ！？」
ユジンはベッドから飛び降り、タタタっと病室を走り去っていった。
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作者名：ばぶちょるちょる | 作成日時：2023年10月3日 13時
