chapter91 ページ47
「___聞いたら、後悔しますよ。」
どこか緊張が走る車内。
彼の目は先を見据えているかのように私の目を真っ直ぐ見つめていた。
顔の距離がいつもより近いため先程から恥ずかしさで頭が破裂しそうだ。
だが、私も怯まず真っ直ぐ見返す。
「いいですよ。」
そうはっきりと告げると、彼の瞳が一瞬見開き私の肩に置いてある手が少し緩まった。
「私は、安室さんのことが知りたいだけです。このまま知らずに後悔するより、知って後悔する方がよっぽどましです。」
そう。
もう大事なことを知らないままお別れなんてごめんだ。
すると、完全に肩に置かれた手は消え去りだんだんと安室さんの顔も遠ざかる。
そして彼は深い溜息をつき、参ったというような表情でこちらを見てきた。
「あなたという人は……。」
「安室さん…?」
そんな彼は先程の冷たさを纏った雰囲気はもうなく、ただいつも以上に真剣な眼差しをしていた。
先程以上に緊張感が漂う車内。
私の心臓もなかなかにうるさい。
数秒間の静寂の後、彼の口から出た言葉はなんと前にも聞き覚えのある言葉だった。
「___僕は、警察官です。」
え…?
「…えっと、それは前に冗談だと…。」
「あれは少し口が滑った、といいますか…。今後伝える気はなかったので。」
「は、はぁ……。」
そして、あの組織には潜入捜査を行っているという。
安室さんは、ずっと自分のことを隠して生きてきたんだろうか。
そう考えるだけで、息苦しくなる。
「…こんな大事なこと、どうして私なんかに話してくれたんですか?」
安室さんなら、私に言葉で迫られたくらいかわせるはずだ。なのに、教えてくれた。
「…どうして、ですかね。」
すると突然、暖かい何かに包まれた。
しばらくしてそこが安室さんの腕の中であることに気づく。
「あ、安室さん………?」
なんだ、この展開は。
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なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます!!更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります!! (2018年10月14日 1時) (レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます!私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なみだうさぎ | 作成日時:2018年7月17日 21時