chapter84 ページ40
それは突然のことだった。
「え、もういいんですか…？」
「はい。最近はその効果もあってか、そういう方は現れませんし。それに、いつまでもAさんに彼女のフリを続けて頂くのも申し訳ないですから。」
そう言って苦笑いを浮かべる安室さん。
バイトの休憩中、話があるというので聞いてみると『もう彼女のフリはしなくていい』ということだった。
私はてっきりこの前の依頼人(？)の女性のことだと思ったんだけど…。
＿＿＿まさか、あの女性が本命とか？
「……わかり、ました。」
なんて、そんなこと聞ける訳もなく渋々返事をした。
せっかく最近になって安室さんへの気持ちがわかったっていうのに、ただのバイト仲間に逆戻り。
どうせなら、もっと恋人っぽいことしておけばよかったな。
そう思ってももう遅い。
気づくのが遅すぎた自分が悪い。
それにただの関係に戻ったって、これから＿＿
『……そうだと言ったら？』
『随分と好奇心旺盛な子猫ちゃんね。』
『A secret makes a woman woman.』
最近安室さんのことを考えると、あの女性がちらつく。
それと同時に胸が苦しくなる。
「……Aさん？」
心配そうな表情で私を見る安室さん。
俯いていた顔を上げ、私は無理やり笑った。
「じゃあこれからは、バイト仲間としてまたよろしくお願いしますね。」
いいんじゃんか。
こうしてバイト先で会えるんだし。
それで十分、そう自分に言い聞かせた。
そうでもしないと、すぐにでも涙が溢れて止まらなくなりそうだから。
すると、タイミングよくお店のドアが開く音が聞こえたのでその場から立ち去ってしまいたい一心で私は急ぎ足で接客に向かった。
一方、厨房の奥では複雑な表情を浮かべ拳を強く握りしめている男が1人。
「…………」
その日からだろうか。
安室さんがポアロに顔を出さなくなったのは。
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なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！！更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月14日 1時) (
レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます！私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なみだうさぎ | 作成日時：2018年7月17日 21時
