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chapter83 ページ39

安室side


今日はポアロのシフトが入っていたが、急にベルモットからの呼び出しがあり休みを頂くことにした。

今度しっかりと埋め合わせをしなければ。


すると、指定された時刻から約30分後。

ようやく姿を表し、平然と助手席に乗り込んできた。




「遅刻とは、珍しいですね?」



遅れてきても謝罪の言葉が1つも出てこない彼女に皮肉を込めて問いかけた。



「あら、誰のせいだと思ってるの?」

「…どういう意味ですか?」



そう聞き返すも、「まぁ、いいわ。」と言って彼女は話を本題に移した。




「ノック、ですか。」

「えぇ、近々その疑いがある者を呼び出して始末するらしいわ。」



ノック__

それは組織に潜入しているスパイの名称。


最近はこの手の話は聞いていなかったため油断していた。

彼女の様子から自分がそのノックであるとは思われていないようだったが、僕もいつ疑われるかはわからない。


だからこそ、一瞬足りとも気が抜けない。




「…で、その日は僕も同行しろと?」

「えぇ、だからその日は今日みたいにバイトを入れないことね。」



その言葉に一瞬違和感を覚えた。




「…なぜ知ってるんです?」




すると彼女はフッと笑った。




「あの子、おもしろいわね。


___七瀬 A、だったかしら?」




その名前が彼女の口から出た瞬間、思わず体が固まってしまった。


なぜ、その名前が……?




「…彼女が、どうかしたんですか?」




なぜ、どうして、なんのために?


そう問い詰めたかったが、あまりにも食いつきすぎると逆効果であるため極めて平然を装った。



「少しお話をしただけよ。」

「…まさか、ポアロに行ったんですか?」

「えぇ、悪い?」



…参ったな。

僕が彼女を守る、そうあいつと約束した以上危険な目には合わせられない。



すると、ふぅとため息をつき彼女は言った。





「本当に大切なものなら、巻き込まないことね。


___これは忠告よ。」





それだけ告げて、車内からあっという間に消え去った。




「……そんなこと、言われなくてもわかっている。」




そう呟き、わずかに甘ったるい香りが残ったままの車はスピードを上げ走り出した。

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なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます!!更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります!! (2018年10月14日 1時) (レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます!私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なみだうさぎ | 作成日時:2018年7月17日 21時

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