chapter75 ページ31
少し期待していたが、案の定扉の向こうには空っぽのショーケースのみがぽつんと置かれているだけ。
「まぁ、そうですよね…。」
まずご丁寧に元の場所に返すとも限らないし。
うん、これでやっと諦めがついた。
みんなも待ってることだし戻ろう。
そう思い再びドアノブに手をかけた時、
あの奇術師は現れた。
「またお会い致しましたね、お嬢さん。」
え、うそ。
半信半疑で恐る恐る後ろを振り返ると、先程みた真っ白なタキシード姿の怪盗がこちらを見て不敵な笑みを浮かべていた。
ほんとに来た……。
「もしかして、私に会いに来てくださったんですか?」
「断じてちがいます。」
「そんな即答しなくても。」
いや、ここはきっぱりと否定しなければ。
私がここに来たのは宝石を見るため。
「宝石を、返しに来たんですか?」
彼が手に持っている宝石に視線を移して問う。
ちょうど窓から差している月の光が宝石を照らし、より美しく見えた。
「えぇ。今回も私の探している宝石ではなかったので。」
キッドの探してる宝石って、一体どんなものなんだろう。
話によると、ビッグジュエルばかり盗んでいるらしいから相当なものなんだろうな。
「じゃあ、はやくそこに置いて返してください。」
そう言うと、キッドはふっと微笑みつかつかと私の方に歩いてきた。
え、なになになに。
そして私の前に立ち止まり、「3…2…1…」と謎のカウントダウンをしたかと思えば、ボンッと言う音と共に宝石はたちまちあるものに変化した。
「……ネックレス?」
キッドの手の中には、あの宝石がはめられたまるで芸術作品のような美しいネックレスが光り輝いていた。
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なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます!!更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります!! (2018年10月14日 1時) (レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます!私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なみだうさぎ | 作成日時:2018年7月17日 21時