chapter56 ページ11
「それで、私のところに…？」
そう聞くと、安室さんは頷いた。
あの時あの場所にいたのは偶然なんかじゃなかったんだ。
会いに、きてくれたんだ。
「…けど、未だに信じられません。松田さんが私の兄だったなんて…。そんなこと一言も言ってなかったのに。」
けど、安室さんがこんなことで嘘をつくとは思えない。
すごく信じ難いけどあの人は私の兄なんだろう。
なんか、不思議な気持ち。
「…あいつは、言うつもりはないと言っていたからな。」
言うつもりはない、か。
松田さんらしいな。
「…何か、理由があったんですかね。」
確かに、急に言われてもあの頃の私はすぐに信じられないかもしれない。
急に現れた警察官が実は兄でした、なんてどんな冗談ですかって思うし。
「＿＿俺はいつ死んでもおかしくない。」
突然安室さんがそう言い放つと、その言葉は松田さんの言葉なんだろうと認識する。
「あいつは優しいから、きっと悲しむ。いきなり現れた俺のせいであいつが泣いてるのなんて見たくない。だから＿＿＿」
『あいつの本物の兄じゃなくて、偽物にでも慣れたんなら十分だ。』
その言葉を聞いた瞬間、煙草を吸ってサングラスの中で微笑んでいるあの姿が思い浮かんだ。
あれ、なんでだろう。
私、泣いてる。
「…っ……ばかだなぁ。」
兄どころか、それ以上に想ってたのに。
なに妹落としちゃってるのさ。
けど、安室さんのおかげでけじめはついた。
「…松田さんみたいな兄がいたなんて、私幸せ者ですね。」
ほんとは直接伝えたかった。
あなたがいなくなる前にもう1度会いたかった。
もっともっと色んな話を聞きたかった。
そんな想いを込めて空に向かって私は、
『ありがとう』と伝えた。
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なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！！更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月14日 1時) (
レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます！私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なみだうさぎ | 作成日時：2018年7月17日 21時
