chapter9 ページ10
「私、イケメン苦手なんです。」
「……それが、僕が苦手な理由ですか?」
「はい。」
案の定、安室さんはポカンとしている。
そりゃそうだよね。
「…これまで関わってきたイケメンって、顔いいだけで裏の顔クズで最低な奴ばっかりで。
それで、中学の時のある出来事がきっかけでイケメンが苦手になりました。
……自分でもそんなの偏見だってわかってるんですけど、やっぱり信じることができなくて。」
蘭たちにも言ったことないのに、なんで会ったばかりのこの人に話しているんだろう。
しかも、苦手であるイケメンに。
すると信号が青になって、車が発進した。
「__誰にでも、拭いたくても拭いきれない過去くらいありますよ。」
「え…」
その目は、自分もそんな過去があるかのような目だった。
「それを無理に消そうとすれば、変な跡が残る。
時間をかけて、自然と消えるのを待つ方がいいと思いますよ?」
「は、はい……ありがとうございます。」
なんかアドバイスくれた…?
「あとはそうですね。
___慣れ、とかですかね。」
そう言って安室さんはいつもの爽やかな笑顔じゃなくて、意地悪な笑みでこっちを見てきた。
そして、必然的に目が合う。
なぜか逸らせない。
「慣れ、ですか。」
「__やっと目、合いましたね。」
そう言って少し微笑んだかと思うと、
安室さんの手がどんどん近づいてきた。
え、なになに怖い怖い。
私は咄嗟に目を瞑る。
すると、ガチャっとシートベルトが外れる音がした。
「さぁ、着きましたよ。」
「え」
するといつの間に着いたのだろうか、すでに私の家の前に停車していた。
「本当に、ありがとうございました…」
「いえいえ、風邪ひかないように気をつけて。」
ドアを開ける前に、私は安室さんの方に振り向いた。
「私、安室さんみたいなイケメンは苦手ですけど、
__安室さんのサンドイッチは好きです。」
そう言うと安室さんは少し目を開いたあと、
「ははっ ありがとうございます。僕自身も負けていられませんね。」
と言って優しく微笑む。
やばいこれ以上ここにいたらこの人の空気に飲まれそうだ。
そう思った私は、手早くお礼を言って急いで家の中へ入った。
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なみだうさぎ(プロフ) - 奈緒さん» 言われてみればそうですね!!アドバイスありがとうございます! (2018年7月30日 14時) (レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
奈緒(プロフ) - 漫画の表記だとサンドウィッチではなくサンドイッチかと。めんどくさいこと言ってすいません! (2018年7月27日 0時) (レス) id: fb11a646af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎ | 作成日時:2018年6月4日 1時