ツキヒコが眠るとき。 再 ページ4
「あ……あざ……み…」
「お父さん、お父さんしっかりして!! シオンまだお父さんといたいの!!!」
泣きながら僕の身体を揺する、シオンの顔が霞む。
暗い、静かな闇に、優しく引き寄せられてゆく感覚がした。
ああ…僕は終わるんだ。
ずっと一緒にいられなくてごめんね…シオン。
……
闇に落ちていく。
ずっと変わらずに落ちていく。
落ちる僕の身体は、いったいいつになったら止まるんだろう。
思ったとき、突然身体が浮いた…ような感覚がした。
軽くなったまぶたを上げてみると、どうやら誰かに支えられて止まったようだった。
僕は死んだんだよね? なぜ違う誰かがそばにいるんだい?
「アザミ…君なのか?」
なんとなく察した僕は、その名を口にした。
「…重い。早くどかぬか」
頭上から聞こえてきたその声は、何年も待ちわびていた…懐かしく、大好きな声だった。
「ごめんごめん、今起きるから怒らないでよ」
言ってから気がつく。
声が出せた。しかもあの頃と同じような、活力のある声。そして身体も、驚くほど楽に動かすことができた。
どういうこと?
僕の身体はあの頃に、戻っているってこと?
支えてもらっていた腕から離れて見渡しても、周りの景色は真っ暗で、右も左も何も見えない闇。夜?それとも…
ここがアザミの作ったという、「終わらないセカイ」なのかな?
「違う」
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作者名:実結 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/minoko2
作成日時:2014年7月20日 11時